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金正恩委員長高笑い 米韓の足元を見た朝鮮戦争「終戦宣言」①

 朝鮮戦争の「終戦宣言」が先か、核・ミサイル放棄が先か――。ポンペオ米国務長官が10月7日に北朝鮮を再々々訪問し、平壌で金正恩党委員長と会談した。二度目の米朝首脳会談の具体的な日程や非核化プロセスについて速やかに協議することで合意したというが、果たして齟齬は解消されるのだろうか。

 去る6月12日に行われた史上初の米朝首脳会談では、共同文書に完全・検証可能・不可逆的な非核化を意味する「CVID」の文言が盛り込まれなかったことが批判された。さらに、トランプ大統領自身が記者会見の場で、「今夏からの米韓合同軍事演習を中止する」と表明したことも「一方的な譲歩だ」と米国内に大きな波紋を呼んだ。

 こうした失点からトランプ大統領は、北朝鮮に非核化への着手を具体化させ、安全保障上の脅威を取り除くことで中間選挙を勝ち抜きたい焦りがある。
「米韓同盟のもう一方、韓国の文在寅政権も、経済政策の不都合などで支持率が低迷しています。正恩委員長は、人気取りに走らざるを得ない米韓両国を巧みに操って、自国の体制維持のための時間稼ぎに成功しつつありますよ。米国と中国の関係が悪化していることも好都合です。中国の対米関係が悪化すると、中国が北朝鮮の言うことを聞いてくれるようになる可能性が高いからです」(国際ジャーナリスト)

 米韓を中心に、北朝鮮との対話を重視する政治的な雰囲気は間違いなく高まっている。しかし、それは朝鮮半島情勢をより不安定化させる可能性が大きい。北朝鮮が本気で核兵器を放棄するとは考えづらいからだ。

 北朝鮮が「非核化に着手した」と主張する点は、
(1)東倉里のミサイルエンジン試験場と発射台を、関係国の専門家の監視下で恒久的に廃棄する。
(2)米側が6月12日の米朝共同声明の精神に基づき相応の処置を取れば、寧辺にある核施設の恒久的廃棄などの追加措置を講じる用意がある。
 以上の2つだ。

「東倉里では、ウクライナから導入したRD-250技術を使った大出力液体燃料ロケットエンジンの噴射試験を行い、中長距離弾道ミサイル『火星12』、および大陸間弾道ミサイル『火星14・15』の射程を伸ばし、ワシントンを圏内に収めることに成功しています。ですから、液体燃料エンジンの推力や燃料効率をこれ以上改善させる必要はなく、地上で追加的な実験を行う理由も見当たりません。つまり、東倉里はすでに用済みなのです。今後、北朝鮮のミサイル技術発展で注目すべきなのは、液体燃料ミサイルではなく固体燃料ミサイルに関する動向の方です」(軍事アナリスト)

 米側は非核化交渉の第一歩として、北朝鮮側に核関連施設や製造済みの核弾頭・核物質のデータなどの“リスト”を申告するよう要請しているといわれる。米側が保有している独自のインテリジェンスと照らし合わせ、北朝鮮の核能力を正確に査定し、後の能力削減プロセスの実効性を担保するためだが、北朝鮮側はこれに応じず、代わりに前述した(1)(2)のように、廃棄したり公開したりする施設を自ら一方的に指定しているというのが現状だ。

「寧辺は、5メガワット級の黒鉛減速炉、実験用軽水炉、核燃料製造=ウラン濃縮施設、プルトニウム抽出用の使用済み核燃料再処理施設などが集積している国際的にも名の知れた重要拠点ですから、ここの廃棄も『終戦宣言』を引き出すための取引に使うつもりでしょう。北朝鮮が言う通り、寧辺の核施設をすべて廃棄すれば、プルトニウムの増産については歯止めをかけることができます。ただし、寧辺の廃棄だけではプルトニウム生産のみが中止されるにすぎません。実は北朝鮮は寧辺以外の最低2カ所に、公表していない秘密のウラン濃縮施設を保有していると考えられているからです」(同)

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