愛染まつりは、天神祭、住吉祭と並ぶ“大阪三大夏祭り”の一つで、聖徳太子の時代から大阪人に親しまれている。6月30日から3日間の期間中は、愛染娘による「宝恵かご行列」をはじめ、多彩なイベントが催され、毎年20万人近い参拝客で賑わっていた。
ところが、数年前から一部の若者や暴走族の迷惑行為、露店や参拝客のゴミ捨てが問題になり、苦情が殺到。これに耐えかねた主催者側が苦渋の決断を下し、昨年は愛染娘なし、露店なし、参道規制と、大幅な規模縮小が図られた。
この措置は、「あくまでも経過の観察。様子見です」(愛染堂の関係者)とされていたため、成り行きが注目されていたのである。
「ネットには一昨年までの愛染まつりが紹介されていて海外からの観光客も増えているので、できれば以前のようにやりたかったんですけど、近所迷惑や警備のことなんかを考えると、今年も静かに、ということになりました」(同)
地元の反応は様々だ。
「去年、問題がなかったから、今年はまた賑やかにやりはると思ってたんですけどね。さみしいですね」(浪速区の女子高生)
「正直ほっとしてますわ。あのバカ騒ぎは、とてもお祭りの賑わいでは済まされない。家の前でそれをやられる、こっちの身にもなってほしい」(近所の男性)
一方、東京の騒動が影響しているとの声もある。
「あの渋谷のハロウィンのバカ騒ぎを見て、やっぱり今年も静かにやろう、となったみたいですわ」(四天王寺の飲食店主)
あそこに行けば騒げる、騒いでもかまわないというイメージが定着してしまうのを恐れたというのだ。
一部の非常識な連中のおかげで、日本の伝統行事まで犠牲になるのは、もう勘弁願いたい。