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釣れた魚と旨い酒!日本全国釣り行脚 静岡県下田・稲生沢川河口産ノコギリガザミ

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提供:週刊実話

 良質な温泉と温暖な気候、太平洋に面した美しい景色、そして、江戸時代末期には開国の舞台にもなった静岡県は伊豆半島の一大景勝地「下田」。下田といえば、連日水揚げされるキンメダイが名物であり、食事処や宿のメニューには“地キンメ入荷!”という文字も多く踊ります。

 あ、だからといって今回の狙いは、船に乗って下田沖で名物のキンメを! という訳ではありません。下田を訪れたのは、数年前に当地の市場関係者の知人から聞いたこんな話がきっかけでした。

 「もうずいぶん前だけど、冬になると河口に網を掛けて、でっかいカニを獲ってくるおじいがいたんよ…」

 この“伝説の老漁師(←勝手に脳内変換)”の話、さらには現地の別の方からも「昔は稲生沢川に大きいカニがいた」という話を聞いたことがあり、クラブマン(蟹獲り愛好家)を自称するワタクシのなかでは長年の要調査事項となっていたのでした。そして、もうひとつの楽しみが温泉です。せっかく下田に来たんですから、温泉にもゆっくり浸かりたいですからねぇ。

 ということで、夕暮れ時に下田に到着、駅から港へと続く道を歩きます。昔ながらの「なまこ壁」の建物が残る商店街の、何とも懐かしい昭和の雰囲気を満喫しつつ、ひとしきり散策をしてから宿にチェックイン。もう、このまま温泉に浸かって部屋でゆっくり…などという誘惑にも駆られましたが、とりあえずカニ網を持ってポイントとなる稲生沢川河口へ。

 一通り見て回り、気になった3カ所に網を仕掛けてから宿に戻ります。カニ網は仕掛けたら30〜60分おきくらいに点検すればOK。せっかく温泉地まで来たのですから、やっぱり温泉に浸かって、ついでにフカフカのお布団で横になって、カニが掛かるのをじっくり待とうかと。

 なにせ狙っているのは、ワタリガニ類の王者・ノコギリガザミ。大物相手ゆえ、いっそ2〜3時間放置したほうが…zzz。

★市街地の河口で

“幻”が登場!

 窓から差し込む強い光を感じて目を覚ますと、すっかり朝…。

「これじゃただの慰安旅行になっちまうじゃねぇか!」と飛び起き、網を上げに向かいます。け、決して最初から慰安旅行のつもりだったわけでは…、ん、あー、まあ否定はできませんが…。

 ここで今回狙うノコギリガザミについて説明させていただきます。最大で2キログラムを超えるという南方系の大型ワタリガニで、巨大なハサミが醸し出す迫力はもはやモンスター。“マングローブガニ(沖縄)”、“エガニ(高知)”、“クロガニ(南紀)”といった地方名があるものの漁獲量は少なく、総じて高値で取引されております。また、一応の北限とされる静岡県の浜名湖では、“幻のドーマンガニ”と呼ばれることも。

 そんな貴重なカニですから、簡単に獲れるとは思ってはおりません。だからこそ、だからこそ温泉に入り、布団にくるまりひたすら待ち続けたのですっ! さあ、果たして一晩仕掛けたカニ網はどうなっているでしょうか。ドキドキの網上げです。

 1カ所目、2カ所目は空ぶり。しかし、最後の一網は最も期待度が高いポイント(ドブの吐き出し)に仕掛けてあり期待は十分です。ヒモをたどって網を上げにかかると、「ズボッ!」。網が泥から抜ける感触に続いてかなりの重量感…。こ、これはやっちまったか?

 上げてきた網には大きなハサミを振り回すカニの姿が見えます! 掛かっていたのは600グラムほどの中型でしたが、ハサミを振り上げて威嚇する姿は相当な迫力。“乾電池を潰す”とも評されるハサミに注意しつつ、網から外してビクへと納めたのでありました。

★独特の旨味にとにかく満足♪

 さて、持ち帰ったノコギリガザミは姿蒸しで賞味します。甲羅を剥がすと“ガニ”と呼ばれるエラには真っ黒い泥がビッシリ。“ドテキリ”とも呼ばれるように、泥底に穴を掘って潜るカニなのでまあ想定内です。

 まずは大量の味噌から。濃厚ながらもしつこくなく独特ではありますが上品な旨さです。続いてハサミにみっちりと詰まった肉を口にするとこれがまた非常に甘くて美味。他のカニと比べて甘味&旨味が抜群に濃厚で、純米酒『開国下田』とともに即完食。

 それにしても、獲物が獲物だけに、まさかそうやすやすと獲れるとは思っていなかったので、自分でも少々ビックリ。長年の調査事項をクリアし、大満足な伊豆下田の慰安旅行となったのでありました(←結局慰安旅行なのかよ!)。

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三橋雅彦(みつはしまさひこ)子供の頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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