研究生とは正規の学部へ入学するための準備課程として日本語を学ぶ外国人学生のこと。1年間を修了し、試験を受ければ正規の学部に進学できるという。正規の学部などに所属する留学生と異なり、奨学金制度の対象外だ。
こうした学位取得課程に属しない非正規の学生は増加傾向にある。東京福祉大では、2016年度から「研究生」制度を発足させていた。
「今年度は社会福祉学部でベトナムや中国などから3179人を受け入れています。昨年4月以降、授業に出席せず連絡が取れなくなるなど『所在不明』を理由に除籍された研究生は688人で、在留延長が認められなかったなどの事情で退学した研究生は313人、1年間の課程を修了できなかった学生は計1001人に上っています」(全国紙社会部記者)
東京福祉大は00年に群馬県伊勢崎市に開学した私立大学で、現在は全国4拠点に3学部を展開している。同大の研究生を含めた留学生数は、早稲田大学に次ぐ全国2位だという。
「目的は大学収入増を狙ってのものとみられています。社会福祉学部がある東京・北区の王子キャンパスでは、銭湯の2階やアパートの1室を使用するなど教室不足が深刻化しているほどで、会計検査院も国からの補助金が留学生支援に適切に使われているかなどについて調査に入っています」(同・記者)
こうした日本での留学希望者が、在留資格を得ようと書類を偽造する不正行為も後を絶たないことから、ソニーと富士通は、仮想通貨にも使われるブロックチェーンの技術で偽造を防ぐ仕組みを共同開発し、19年度中の実用化をめざしている。
「日本に留学できる在留資格を得るには、①日本語の検定試験に合格した。②日本語の学習講座を一定時間受けたという証明書を入国管理局に出さなければなりません。日本語の能力が足りないと生活上のトラブルを抱えやすいためです。一般的に証明書は、現地の日本語教育機関が発行し、日本にある日本語学校が申請を代行していますが、偽造が絶えず、ベトナムでは昨年、現地の仲介業者による大規模な偽造事件が発覚しています」(日本語学校経営者)
留学希望者が現地でオンライン日本語講座を受けて修了すると、証明書発行とともにブロックチェーンに証明書のデータが登録される。日本にある日本語学校が照合し、発行された証明書が本物かどうかチェックするという仕組みだ。
約700人の外国人は今どこにいるのか。