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異業種が続々参入 ヤマダ電機EV電気自動車ビジネスの賞賛

 家電量販最大手のヤマダ電機(本社=群馬県高崎市)が、電気自動車(EV)事業に参入すると公表し、同業他社や自動車業界に衝撃を与えている。
 「ヤマダは10月末、川崎市にあるEVベンチャーのFOMM(フォム)と資本業務提携し、FOMMに10数億円を出資するという。'20年をメドに、FOMMが開発し量産化に踏み切ろうとしている4人乗りのEVを、100万円前後という安さでヤマダ電機店舗やネットで販売を始めるというのです」(自動車業界関係者)

 FOMMとは、どんな企業なのか。
 「もともとは、主にスズキなどのオートバイ設計を担い、その後、トヨタの小型EV開発に携わった技術者の鶴巻日出夫社長が、'13年に設立したベンチャー。ヤマダで売り出されるEVは、排気ガスが地球温暖化に影響を与えていることからの脱却、水害を受けた際に水中に浮き、さらに安価で手ごろな価格、この三本柱を見据え、開発に取り組んだものと言われています」(同)

 しかし、このコンセプトは評価されたものの、いざ開発となると、なかなか出資先が見つからず苦労したという。
 「それでも何とか開発までこぎつけ、これに海外が敏感に反応。特に水害の多いタイや中国、東南アジアの各国からの視察が相次いだ。しかし、国内では採算面を理由に手を挙げる企業がなかなか現れなかったのですが、そんな折、今回のヤマダが登場したのです」(同)

 なぜ、家電量販店のヤマダが目を付けたのか。その背景を、経営アナリストがこう説明する。
 「家電量販店は今年、白物家電が買い替え時期で売り上げも順調。今後も、来年の平昌冬季五輪、'20年の東京五輪を見据えての4K、8Kテレビの買い替えが起きると見られている。しかし、問題はその後。かつてのアナログからデジタルへといった大ウエーブがない中で、どの電気量販店も生き残り策を模索しているのです。特に、業界ナンバー1のヤマダは、'11年に2兆1500億円あった売上高が、依然トップではあるものの1兆5630億円まで落ちた('17年3月期)。そのため、ヤマダが未来の収益ジャンルとして全力で取り組み始めたのが、ハウジング関連。特にITを駆使した省エネ家電などと連動したスマートハウス事業だったのです」

 ここ数年のヤマダ電機は、急ピッチでハウジング事業に力を入れている。'11年には中堅ハウスメーカー『エスバイエル』を買収し、'12年は住宅設備機器会社『ハウステックHD』を買収。家電+ハウス事業に舵を切った。
 「EV参入宣言直後の11月頭には、リフォーム業界大手の『ナカヤマ』を買収し、ハウジング事業への資本投下をさらにエスカレートさせているのです」(同)

 また、ヤマダ電機では今年6月から新たな店舗展開として『インテリアリフォームYAMADA』前橋店をオープンさせている。
 「これは家具やインテリア、リフォームに特化させた形で、店内には一切、電気製品を置いていない。この型の店舗を今後、全国に展開するということからも、ハウジング事業に力を入れる新戦略が見える」(同)

 ところで、家電量販業界全体を眺めると、売上高トップのヤマダ電機に次ぐ2位はビックカメラ、3位がエディオン、4位ケーズHD、5位はヨドバシカメラとなっている。
 「しかし、経常利益率で見ると、トップはヨドバシ、2位はケーズ、そして3位がヤマダ。ヨドバシはネット販売とインバウンドを相手に大成功。ケーズは、都市部より手堅い地方客をガッチリ掴み、そこに根を張る手法と、それぞれ個性を打ち出し将来の人口減を見据えた動きを見せている。その中にあってヤマダは、スマートハウスで家全体をヤマダ販売の家電で埋め尽くすという戦法。EV車はその延長線上にあり、家にEV充電装置を設置するなどして、車を家電の一部として売り出すことにより相乗効果を狙っているのです」(自動車メーカー関係者)

 そのEVビジネスには、英家電メーカーのダイソンも、'20年までにEV発売に乗り出すという。
 「ダイソンは1500億円を投じて、400人のEVチームを編成し極秘開発を続けていて、オリジナリティー溢れるEVにすると自信満々です」(同)

 英国のみならず、中国や欧州各国も、今は自動車メーカー以外もこぞってEV開発にシフトしている。その意味では、ヤマダのEVへのチャレンジは国内で先駆けとなる可能性もある。
 しかし、こんな懸念もあるという。
 「ガソリン車と異なり、EVは比較的技術が単純で、参入しやすい。それだけに、売れるとなれば、国内でもあらゆるジャンルから参入が相次ぎ、競合が激しくなる」(同)

 まずはヤマダ電機の行方に注目だ。

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