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なぜチケットショップの社長がリングに上がるのか? 『T-1』二見社長インタビュー(2)「5万のグラサンも割られたし、離婚もした。でもT-1興行を続ける!」

 “二見激情”でおなじみのプロレス界きっての爆弾男・二見理(ふたみ・おさむ)。とはいっても彼は現役プロレスラーでも団体経営者でもなく、東京・水道橋のチケットショップ『T-1』の名物オーナーである。

 そんな彼がなぜ、女子プロレス興行『T-1興行』を打ち、業界に波紋を広げ続けるのか? ショップ『T-1』、そして『T-1興行』の生い立ちについて、プロレスにも造詣の深いオカルト作家・山口敏太郎氏が、二見社長にインタビューを敢行した。

 山口 なぜチケットショップの社長がプロレスのリングに上がって試合をしているのか、いろんな角度から聞きたいんですけど、まず初めにT-1興行のリング上で、離婚を発表されたこともあったそうですね。

 二見 2007年の7月に離婚し、10月8日の『T-1グランプリ(以下・GP)』新宿FACE大会で発表しました。試合後の独演会で離婚のことを言ったんですが、離婚そのものよりも、自分が結婚してたことに、選手やファンは驚きだったみたいで(笑)。それまで、一切プライベートを公表していなかったから。

 山口 奥さんには「プロレスのリングに上がるなんて危ないからやめてくれ」と言われてたんですか?

 二見 実は、一回観に来てるんですよ。前川久美子と金網越しでガチ口論した1回目の『T-1GP』を。その時、「お金を払ってるプロモーターが何であんなことを言われなきゃいけないの!?」って、前川に対して怒って。普通の感覚だったら怒るよねぇ。

 お金を出してリングで痛い思いをして、そこまでして興行を打つ神経がわからないって言うんですよ。おっしゃる通りなんだけど、このままじゃ引き下がれないって気持ちがあるじゃないですか? 男が夢を追いかけると、女性は冷静になると。

 山口 経営者として、男として、引けない時ってありますもんね。でも、女はわかってくれない(苦笑)。

 二見 今は独身の身だから、何やってもいいって気持ちですけど。前の女房は仕方ないにしても、子供には一度観に来てほしいという気持ちはありますね。今年で高校を卒業するんですが、その年齢になれば、「お金を稼ぐのは大変なんだ」という、親父の苦労もわかってくれると思うんですけど。

【チケットショップ『T-1』】

 山口 本業のチケットショップの話を聞きたいんですけど、チケット&トラベルT-1を始めたのは何年前ですか?

 二見 1995年8月23日に開業したので、15年経ちました。売上のメインはプロ野球のチケット。東京ドームの巨人戦から、神宮のヤクルト戦、西武、横浜、千葉ロッテ…と、首都圏の野球のチケットを中心に扱ってます。

 山口 野球が一番売り上げがいいのですか?

 二見 断トツですね。自分はアンチ巨人なんですが、巨人戦でメシを食っているという(笑)。

 山口 どこのファンなんですか?

 二見 阪神ファンです。T-1のTは、タイガースのTですから(笑)。

 世間からは「野球人気は落ちた」といわれてますけど、全然落ちていないですね。逆に伸びてますよ。落ちたのは巨人の人気だけであって。日本ハムや楽天を始め、地域密着型のチームが増えて、地方での野球ファンは増えているし。

 水道橋に店舗を構えているので、チケット買うのは巨人ファンだけと思うかもしれませんが、アンチ巨人も多いですから。たとえば巨人vs中日戦を買いに来た中日ファンのお客さんが、巨人戦と一緒にヤクルトvs中日や横浜vs中日のチケットも買ってくれる、そういう相乗効果もありますから。それに広島やソフトバンクのファンは、結束力が強いんですよ。首都圏での試合は全部観戦するとか。巨人戦より、ロッテ戦の方が売上がいいですし。プロレスとはファンの絶対数も違うので、野球のチケットは安定して売れますね。

 山口 プロレスのチケットはどうなんですか?

 二見 …全然駄目ですね(苦笑)。そもそも後楽園ホールでの開催が激減したから。

 一番の問題なのは、プロレスラーがファンと、mixiやツイッターで直接やり取りしちゃうでしょう? あれじゃ、ファンとの境界線がどうでもよくなる。小劇団じゃねぇんだから。プロじゃねぇよって話で。

 山口 そのレスラーのチケット手売りの営業力が、マッチメイクに左右される。資本主義社会の見地からすれば正しいんですけど、それじゃプロレスが持ってた「幻想」っていうものがなくなっちゃいますよね。

 二見 プロ野球やプロサッカーの選手が、ファンにメールでチケットを買ってくれと、やり取りしますか? 元々プロレスラーは、近寄りがたい凄い存在だったのに、今じゃ普通のお兄ちゃんみたいなヤツが手売りでしょ。一般人と同じなんですよ。そこを変えたくてT-1興行をやってるんですけど、その思いは伝わってないですね。じゃなかったら、こんな傷を作ってまでやらないですよ!(と、シャーク土屋の有刺鉄線バットでできた左手の傷を再度差し出す)。

【『T-1興行』と“二見激情”】

 山口 では、T-1興行旗揚げの経緯と、二見社長が自らリングに上がり始める軌跡を振り返りたいと思います。

 二見 「T-1興行とは何か」という話から始めないといけませんね。まず5年前の8月23日に後楽園ホールで、T-1創立10周年として『T-1 GP』を行ったんですよ。

 山口 なるほど、この時から「フタミデー」を選んでたんですね(笑)。

 二見 店を開業した時からです(笑)。後楽園ホールでやったことが重要で。この頃に新木場1st Ringに新宿FACEと、後楽園よりももっとお手軽に興行が打てる会場が都内に立て続けにできたことで、後楽園での興行が減ってきたんですよ。これではイカンということで、復興を掲げて女子プロレスのオールスター戦を後楽園でやろうと。

 ところが興行を打ってみたら、予想以上に女子プロの内情が腐っていた。今までは外からの立場で見ていた時は、停滞の原因はフロントだと思ったんですよ。要するに周り背広組のフロントがどうしようもなくて、選手の足を引っ張ってるのかと思ったら、業界の中に入って自分でマッチメイクしてみたら分かったのが、違うんだ、根っこは。選手がダメだった。フロントは選手傷つけないために泥を被ってただけの話で。諸悪の根源は選手なんです。

 その女子プロのダメな部分を露呈したのが第1回の『T-1 GP』ですよ。そこで、今や伝説となっている前川久美子のマイクが出たんです。「今日は仕方なく試合をしました。こんな意味のない試合はやりたくないです。すみませんでした」って暴言を吐いたんですよ。プロが泣き言を言ったわけです。それでオレがブチ切れて、ガチンコの口論になったんです。

 山口 そこから「T-1興行はガチ!」というイメージが定着したんですね。

 二見 試合より、そのガチンコの喧嘩が一番湧いちゃったんだよね。自分のマイク「二見激情」が試合を超える人気を博すという逆転現象になったんですよ。最終的にリングに上がらざるを得なくなっちゃった、というのが経緯ですね。

 で、まだ第1回は口論しただけだったんですけど、第2回大会ではリング上で堀田祐美子と喧嘩したわけですよ。その堀田には新調したての5万円のGUCCIのサングラスを割られて(笑)。見ます? ほら(写真参照)。

 山口 それは精神的にダメージ受けますね(笑)。

 二見 このサングラスは、T-1の歴史そのものですよ(笑)。

 ちなみに二見は毎回試合をやっているのかとよく聞かれるんですが、実際はそうじゃなくて、初めて試合に出たのは、第8回目の07年6月27日の新宿FACE大会ですね。第8回大会の大会名に、二見デビュー戦と謳っていたんですが。全14回大会中、試合をやったのは6大会。

 山口 いつも乱闘してるイメージだから、ずっと出ているのかと思いました(笑)。

 二見 結局ファンも、「二見激情」を観に、チケットを買って会場に来てるんでね。引っ込みがつかないというのもありますね。

 山口 男子プロレスは興味ないんですか?

 二見 男子は自分がやらなくてもやる人がいるし。あと男子を復興させるのは難しいと思う。女子のほうが可能性があるので。

 山口 T-1興行がメディアにあまり取り上げられないのはなぜですか?

 二見 本当のこと言うからじゃないですか。あと、選手より目立つから。業界として好ましくない部分も遠慮なく言うからね。今の専門誌は、選手の広報誌に成り下がって傷の舐め合いをしている。

 山口 まぁ、プロレスマスコミの売上が落ちてるのもそこでしょうね。

 二見 やっぱり記者にメシ食わせたり、パンフの原稿などの仕事を与えたりしないと駄目みたいで(苦笑)。DEEPの佐伯繁代表が慕われているのは、そこが大きいわけだし。実際、格闘技マスコミは佐伯さんのことを「親分」と慕っているし。

 山口 見た目だけじゃなくて、懐も太っ腹なんですね(笑)。

 二見 反面、競技性を追求してる修斗はそういうことやらないから、kamiproでの記事が少ない。で、K-1の谷川さんや佐伯さんばっかり載っているという(苦笑)。そういうことだろうね。

 T-1興行には、毎回格闘技の関係者が観戦に来てくれるんですよ。佐伯さんや島田裕二レフェリーとか。あと、修斗の北森代紀広報に、ジュエルスの尾薗勇一社長にヴァルキリーの長尾メモ8氏、パンクラスなど…。そうだ、ジュエルスの杉山しずか選手も来たし。こっちはプロレスのリングであって、格闘技業界とはあまり接点がないから来やすいというのもあるでしょうけど、やっぱり彼らにしたら、自分たちが言えない本音を二見が言ってくれる…というのがあるんでしょう。

 ただプロレスだと、そうはいかない。若い選手がT-1に近づくと、団体の上層部から「なんだ二見のところに行って…」と文句言われるとか、実際にあるので。T-1のリングに上がりたいという選手、実は多いんですけどね。

 山口 でもそれは、選手一人ひとりの判断に任せる問題ですよね?

 二見 顔色伺う選手ばかりでね。そこからして駄目なんだけど。自分は、大御所に嫌われているんですけど、言われたヤツはそこから次のストーリーを展開することを考えたほうがいいと思う。

 山口 昭和の新日本プロレスの新間寿(元・営業本部長)さんだったら、スキャンダルを必ず次の興行に結びつけてたんですけどね。

(つづく)

◆『二見記念日 T-1スペシャル〜一期一会〜』
日時:平成23年2月3日(木)
開場/19:00 開始/19:23(※イク〜・フタミ!)
会場/新木場1st RING(東京都江東区新木場1-6-24)

出場予定選手:二見社長、川田由美子、キラ☆アン、松澤チョロ
特別ゲスト:ターザン山本!、草間政一

≪決定カード&特別トークショー≫
シングルマッチ キラ☆アン vs 松澤チョロ
特別トークショー ターザン山本!&草間政一

◇前売りチケット料金表 ※当日券は500円UP 
トップワンシート(最前列) ¥4500
T-1スペシャルシート(ひな壇) ¥3500
ペアシート(2枚1組) ¥5000(T-1のみ、当日販売なし)

主催:チケット&トラベルT-1(東京・水道橋)

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