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専門家が警鐘! 日本列島を襲う巨大地震8連発

 平成最後、新元号元年である2019年は迫りくる巨大地震発生のシグナルで溢れている。南海トラフや首都直下などが立て続けに起きた幕末期と似ているのだ。1月3日には熊本地方で震度6弱の地震が起きた。地震・災害の専門家が最大級の警鐘を鳴らす。

「インド洋から太平洋にかけての地域では火山が活発に活動し、地震が発生している。インドネシアでは西部のスンダ海峡でアナク・クラカタウ島が噴火し、火山灰や煙が噴出して津波を起こした。地球には地震が起こり、火山が活発に活動する時期が周期的に起きている。今はその時期にあたり、そういう目で自然現象を捉える必要があると思いますね」

 こう語るのは、琉球大学理学部名誉教授の木村政昭氏である。
 何しろ、アナク・クラカタウ島の存在するところは古くはクラカタウ島といい、1883年のカルデラ大爆発では島の大部分が消えてなくなった。そのため約3万6000人の死者を出し、火山灰は成層圏(11㎞〜50㎞)に達して全地球を覆い、数年間世界の気温が1度以上も下がったのである。

 そういえば、日本にも今、活発な活動が確認されたカルデラ火山がある。鬼界カルデラである。神戸大学海洋底探査センターは、近年、鹿児島県・薩摩半島の南約50キロにある海底火山「鬼界カルデラ」に、マグマの活動が活発な場所を発見したと発表した。海底から100隆起したドーム状の火山体で、熱水が噴出し、煙のようにたなびく「熱水プルーム」を少なくとも5カ所確認したというのだ。

 防災ジャーナリストの渡辺実氏が言う。
「火山、地震、気候変動、どれをとっても、地球はこれまで遭遇していないような事態に突入しています。日本が天地動乱の時代に入ったのは間違いないと思いますね」

 今から160年前の江戸時代末期、実は当時、日本ばかりでなく、環太平洋造山帯も活性化していた。太平洋の東側、中米のエルサルバドルで、巨大地震のため首都が壊滅する被害があった。歴史は繰り返すというが、昨年5月、エルサルバドル地震が再来した。
「135年前に起きたインドネシアのカルデラ大噴火といい、現在、その火山で起きている活発な活動や地滑りによる津波、そして、日本の鬼界カルデラの活動、これが無関係であるとはとうてい思えない。日本もその真っ只中にあるということです」(サイエンスライター)

 木村氏によれば、そうした地球の営みは周期的に訪れるのだから、今の日本と160年前の江戸末期の日本はまさに地震の活動期と言える。

 では、幕末の日本を襲った巨大地震の数々を見ていくことにしよう。

 古文書を紐解いてみると、江戸末期には10近い巨大地震が襲来し、人々の暮らしを蹂躙した。

 武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が語る。
「大正時代に発生した関東大地震以降、日本は比較的静かでしたが、江戸時代には頻繁に大きな地震が日本を襲った。M5〜6が40回、6.1〜7.9が103回、8〜9が6回、規模不明なものは38回もあるほど。日本は静かなおかげで高度経済成長を成し遂げることができたが、東日本大震災のため、基盤岩が動き、それをきっかけに地震が起きやすくなった。これまでのように、地震はないものだと思っていると痛い目に遭う」

 1855年11月11日(安政2年10月2日)には、直下地震に当たる安政江戸地震が東京を襲い、約1万の人が命を落とした。
「地震が発生したのは21時30分頃、規模はM7.0〜7.2と見られますが、震度6以上の揺れは江戸の中心とその付近にとどまったようです。震源地は東京湾北部の荒川河口あたりというのが有力です。実は、前年の1854年には、伊賀上野地震のほか、安政東海地震、安政南海地震、豊予海峡地震という安政江戸地震を上回る規模の3つの巨大地震が、わずか4日間で起こっていたのです」(前出・サイエンスライター)

 これらの巨大地震が発生した当時は、ペリー(米国)の黒船来航によって日本が開国を迫られ、尊王攘夷で揺れていた時代。世界中がトランプ大統領に翻弄され、IS(イスラム国)などのテロに怯えている現代と似ていなくもない。

 当時は地震の活動期に当たり、4日間で3つの巨大地震が起きたことを含めれば、巨大地震はなんと8連発! その背景には中央構造線が活性化していたことが挙げられる。

★中央構造線が活性化
 まず、1854年7月9日(嘉永7年6月15日)に伊賀上野でM7・25の直下型地震が発生した。当時の古文書には、上野城の東西大手門の石垣が崩れ、番人4名が死亡し、地滑りなどの被害も大きかったことが記されている。死者は995名。うち伊賀上野付近の死者は625名、負傷者994名、家屋倒壊2270戸、蔵倒壊306件に上った。

 そして、1854年12月23日(嘉永7年11月4日)に南海トラフであるM8.4の安政東海地震が発生した。

 ロシア海軍士官のモジャイスキーはプチャーチンによる開国交渉のロシア艦隊の旗艦ディアナ号に同乗していた。ところが、安政東海地震による津波で同船は大破、修理のため向かった戸田村(現沼津市)への回航中に嵐に遭い、宮島村(現富士市)沖で沈没してしまったのだ。

 南海トラフ地震で現在、心配されているのは巨大地震の連鎖で、当時も同じ現象は起きていた。安政東海地震の翌日には、四国の高知沖で安政南海地震(1854年12月24日)が発生し、その2日後に豊予海峡地震が起きたのである。

「豊予海峡地震はM7.4、安政南海地震はM8.4の巨大地震です。近畿から四国、九州東岸に至る広い地域に甚大な被害を与えました。津波の被害も多く、土佐地域では、推定6から7の大津波が押し寄せ、372人が溺死した」(同)

 安政南海地震による全国的な被害状況は全壊家屋2万余戸、半壊家屋4万余戸、焼失家屋2500余戸、流失家屋1万5000余戸、死者約3万人と推定されている。

 中央構造線が活性化していたため、内陸でも直下型地震が起きた。

 1855年3月18日(安政2年2月1日)には飛騨地震が発生している。白川郷を震源に発生したM6.8地震だ。死者12人だったため、あまり記録も残っていないが、その8カ月後には、前述した安政江戸地震が発生しているのだ。

「中央構造線は現時点で活性化しています。関東ローム層の厚い堆積物で覆われているため、東京近辺はどこを通っているか不明だが、北は茨城から南は都内まで諸説ある」(前出・島村氏)

 もし、都内を通過して太平洋に抜けているとすれば、安政江戸地震の襲来もよく理解できるところだが、昨年の大阪北部地震を経験している我々にとっては、非常に気になる点がある。

「昨年は長野県内で震度5強、群馬・渋川で5弱の地震がありましたが、いずれも中央構造線絡みと考える研究者もいます」(同)

 つまり、中央構造線上で大阪北部、長野、群馬の大地震…と震源が北上しつつあるのだ。このままいくと、今年中かオリンピックの行われる2020年頃に東京直下地震が発生しても何ら不思議ではないのである。

 話を江戸時代に戻す。1856年8月23日(安政3年7月23日)には、安政八戸沖地震が発生した。八戸藩史稿には、「最希有なる強震で八戸城が所々破損し、湊村は海嘯によって浸水し流家があった」と記されているが、被害は少なかったという。

 8連弾の最後は、1858年4月9日(安政5年2月26日)の飛越地震である。越中・飛騨国境(現在の富山・岐阜県境)の跡津川断層を震源に発生したM7.0と推定される地震。

 北陸地方や飛騨国を中心に大きな被害をもたらし、死者426人、負傷646人、家屋の全半壊・流失2190戸とされている。富山藩士の体験記には「地面が階段状に隆起した」「水が一時に湧き出、白砂がまじってふき出し」などの被害状況が描かれている。

 東日本大震災が起こったのは2011年。それをきっかけに地震活動期に入り、
「今や10年前とは全く違う。日本には貞観の時代、幕末など地震の活動期とされる時代がありましたが、今まさにそういう時代ですよ。巨大地震が起きないよう、世界中から人が集まってくる2020年のオリンピックの年を何とか避けてほしいと祈りたい気持ちです」(前出・渡辺氏)

★新元号元年に起きた大地震
 木村氏は「巨大地震がいつ発生しても不思議ではない状況」と指摘する1人である。同氏が考える震源は伊豆・小笠原沖だ。

「昨年3月には、新燃岳が噴火しています。これは、日向灘あるいは伊豆・小笠原沖に想定される、大地震の前兆の一つと考えられます。一昨年4月には、西之島でおよそ1年半ぶりに噴火が起こりました。2013年以降“西之島噴火”の溶岩流出により、同島は大きく成長し続けています。これは、西之島のすぐ東側に想定されている地震の目が成長し、そのプレッシャーにより、西之島火山の地下に巨大な圧力がかかってマグマの上昇を促進させた可能性があります。もしそうなら、地震についてもさらなる注意が必要です」

 西之島は東京から約1000キロあるので、地震動はさして大きいとは思われない。その代わり、10を超える巨大津波が太平洋沿岸を襲うと考えられている。

「津波は当然、東京湾にも入ってくる。東京湾は入口に当たる観音崎のあたりが狭いのでエネルギーが奪われるだろうが、5、6の高さは覚悟しておいた方がいい」(関係者)

 首都圏を襲う可能性のある巨大地震は、2018年から2020年の間にほぼ100%の確率で発生すると予想するのは、内閣官房参与でもある京都大学の藤井聡教授だ。そのため藤井教授は、空港などの主要施設の耐震性強化の徹底と、震災が起きた場合の迅速な回復力が重要であることを訴えてきた。

 東日本大震災によって総額16兆9000億円もの被害を被った日本。もし、首都直下地震のため、オリンピックが中止になる事態になれば、その経済的損失は計り知れないものになるだろう。もっと怖いのは前述の鬼界カルデラである。
「調査に当たった神戸大の研究グループは、カルデラ噴火のことにも言及していました。確かに、鬼界カルデラは直近の活動が7300年前。そろそろ動き出しても不思議ではありません。もし、カルデラ噴火したら? 日本が消滅してしまうことも考えないといけませんね」(前出・島村氏)

 安政東海地震が起きた1854年は元号が変わった安政元年。今年は新元号の元年である。

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