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放射能被曝の影響か 福島・飯館村「細川牧場」で相次ぐ馬の怪死(1)

 放射線被曝の影響が、いよいよ生態系を蝕(むしば)みはじめた警鐘ではないのか−−。
 福島県飯舘村で牧畜業を営む細川徳栄さん(61)の牧場の馬が、わずか半年の間に十数頭も相次いで奇妙な死に方をしているという。
 「今年の1月16日にメス馬が死んだ。それ以来、5月末までに17頭もの馬がバタバタ死んでった。広い放牧地だから、正直言って除染もままならない。(左頁写真を見せながら)こんなふうに、ぶっ倒れたまま鳥やらに死肉をついばまれたりしたヤツもいる。去年までは何でもなかったのに…。もちろん獣医師にも診てもらったし、保健衛生所でも死亡鑑定してもらった。けど、結局は原因不明って言うんだよ」

 これまでも避難区域で亡くなっていった家畜たちのことは、報道でも伝えられていた。その多くは、餌を与える人がいなくなったことでの栄養失調が原因とみられていた。
 しかし、細川さんの牧場の馬たちは「十分ではないけど餌はちゃんと与えている」という。確かに、放牧地を元気に駆け回っている馬たちは、決してやせ細っているわけではない。
 「遺体を解剖し、寄生虫、馬特有の伝染病、血液検査など疑われるすべての鑑定を行ったが、どれもが陰性。病気の疑いは全くなかったんだよ」

 見せてもらった鑑定書(福島県相双家畜保健衛生所発行)の検査結果は、細川さんの言うとおり、すべての欄が“不明”という文字で埋まっていた。
 「みんな原発事故のせいだよ。国の連中はオレにこう言った。全頭殺処分せよってな。冗談じゃねーよ。馬も牛もモノじゃねぇ、ちゃんと生きてんだよ。こいつらを見殺しにするなんて、オレにはできねぇ」

 細川さんが住む飯舘村臼石地区は、福島第一原発から北西に約30キロの位置にある。事故当時、北西の風が吹いていたことで、放射性物質の飛散をモロに受けた地区だ。周囲は『計画的避難地域』に指定され、住民は今なお避難生活を余儀なくされている。
 集落に人気はなく、不気味なほどの静けさが漂っている。そのような中でただ独り、細川さんは避難を拒否。村内に踏みとどまっている。馬も牛も家族と同じと教えられて育った細川さんに、家畜と離れた生活など想像できないからだ。
 「オレで三代目。祖父の代から50年以上続いている。事故が起きる前は馬が130頭、牛が20頭いたよ」

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