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シーズン総括 キャンプ直前補強はあるのか? 埼玉西武編

 「85」−−。ライオンズといえば、攻守に渡る堅実な野球のイメージも強かった。秋山、清原、デストラーデのクリーンアップは破壊力バツグンだったが、『西武ライオンズの黄金期』といえば、「1点を取る」以上に、「1点をやらない」スタイルだった。その野球スタイルが強く印象に残っているせいか、2011年の走攻守のデータを見直してみると、「アレ!?」と首を傾げてしまう内容も少なくない。

 気になったのは、12球団ワーストの失策数「85」だ。チーム防御率3・15(4位)。チーム総盗塁数「88」はリーグ4位。盗塁数トップはソフトバンクの「180」だから、その半分にも及ばない。しかし、チーム打率2割5分3厘はリーグ2位、チーム総得点の「571」、チーム総本塁打数の「103」はリーグトップだ。本塁打と打点の二冠王に輝いた中村剛也(28)のおかげだが、『守りの野球』から『攻撃野球』に完全に変貌している…。
 また、渡辺久信監督(46)にすれば、ここまで投手陣のやり繰りにも苦労させられるシーズンはなかったのではないだろうか。

 まず、先発投手だが、規定投球回数に達した先発投手は涌井秀章(25)と帆足和幸(32=FAでソフトバンクに移籍)の2人。1年間を通じて、ローテーションをきちんと守ったのは「この2人だけ」ということになるが、2010年も涌井、帆足のみの規定投球回数到達だった。菊池雄星(20)、大石達也(23)の成長に期待したい。
 涌井は2010年の14勝から9勝、帆足は11勝から9勝へ。ともに勝ち星を落としているが、2011年はベテラン・西口文也(39)が復調。新人王・牧田和久(27)の活躍もあり、プラス材料も少なくなかった。それでも、渡辺監督がやり繰りに苦しんだのは、クローザーが“欠落”してしまったからだ。
 序盤戦は岡本篤志(30)が奮闘した。当初は前年33セーブを挙げたスコースキー(37)、復調に懸けるグラマン(34)を予定していたが、震災の影響で外国人選手は調整を怠り、岡本に託さざるを得なかった。2010年の先発要員だったミンチェ(35=許銘傑)を中継ぎに、新人で先発タイプの牧田をクローザーに配置転換して巻き返してみせたが、前半戦でもたついた分、3位争いは144試合目まで続いた。3割3分4厘まで落ち込んだチーム勝率が5割3厘7毛まで回復できたのは、9月の大逆襲があったから。同14日から引き分け2つを挟み、10連勝。その牽引役となったのはベテラン西口だった。

 西口は06年6月以来となる完封(8月28日)、9月18日まで自身4連勝を飾り、それに涌井、帆足、岸が続き、ようやく先発陣の足並みが揃った。クローザー・牧田について、投手出身のプロ野球解説者がこう評する。
 「アンダースローだが、バッターボックスに立つと、彼の直球は数値以上の速さを感じさせます。それが彼の持ち味なんですが、走者を背負うと、直球が遅くなる。連投になったときも直球のキレが悪くなる弱点もあり、クローザータイプではありません。臨時措置とはいえ、救援失敗で炎上するのは時間の問題だった」
 39歳のベテランがローテーションの中核を託され、クローザーの適性を持たない牧田が救援にまわるなど、2011年は特異なことが多すぎた。

 “特異”といえば、本塁打王・中村の記録もそうだった。自身3度目の同タイトル獲得だが、2位に23本もの大差を付けたのは史上初。中村の放った48本は2011年のパ・リーグ総本塁打454本のうち、1割強となり、その占有率でも過去最多となる。134個の三振で『三振王』ともなった(リーグタイ)。「本塁打王のタイトルを獲得した年」の中村は、必ず『三振王』ともなる。『本塁打王&三振王』のダブル受賞を3度も記録したのは、元近鉄・ブライアントと中村だけだ。
 超僅差で3位に滑り込んだ最終戦はドラマティックではあったが、投手力と守備力を再整備しなければ、中村のバッティング同様、さらに豪快かつ大味なチームとなっていくだろう。もっとも、過去の野球スタイルにとらわれず、現有戦力の長所を引き出した渡辺監督の手腕は評価すべきだが…。

※2012年1月の配布資料にチーム防御率に関する誤植がありました。関係者に多大なご迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。

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