「2010年ごろからロシア市場にサントリーが参入し、ニッカとともに、15年ごろになると『ジャパニーズウイスキー』としてロシアのウイスキー愛好家に人気が出ました。ところが、17年ごろから両社は、日本国内で起きたウイスキーブームのためロシアへの輸出に回せる製品が確保できず、日本からの輸出は今年に入ると、ほぼストップしています」(経済アナリスト)
すると不思議なことに『KENSEI(剣聖)』『KAIYO(海洋)』『NOBUSHI(野伏)』『TOKINOKA(刻の香)』など、不思議なジャパニーズウイスキーが市場に出回るようになった。カッコ内は日本産であることを強調するため適当に書かれているだけで、製品名は大きくローマ字が用いられている。
「日本人なら『野伏』は“野武士”の間違いじゃないか思うでしょうね。どうも日本人が名付けたものではないようですが、製造元がハッキリ書いていないので何とも言えません。というのも、日本の焼酎メーカーの中には、自社の蒸留技術と設備を使いジャパニーズウイスキーを製造しているところも出てきましたから、こうした焼酎メーカー製かもしれないし、スコットランドの原酒を日本に輸入し、ブレンドと瓶詰めをして輸出したジャパニーズ・スコッチもあるでしょう。とすれば法的には何ら問題ありませんが、さまざまな要因を勘案すると“ある国”が頭に浮かびます」(洋酒収集家)
ロシアにも日本食ブームが押し寄せており、酒類マーケットには、中国産の日本酒や梅酒が大量に出回り、キッコーマン醤油を模したガラス容器に入った安価なニセキッコーマンまで出回ったおかげで、日本メーカーの製品は売れなくなっているという。
「ロシアは貧しいですから、高い日本製品は富裕層にしか手に入れられないのです。そこでサントリーやニッカ製品が入って来ないと見るや、安価な模倣品をあっという間に流通させる中国の機転には頭が下がります。まあそれを知りながら輸入し流通させ、結局はマーケットを破壊してしまうロシア人のビジネス感覚も似たり寄ったりと言えますが…」(流通ライター)
正直だけでは世界に勝てない。