search
とじる
トップ > 社会 > 精神病凶悪犯罪

精神病凶悪犯罪

 よくマスコミの犯罪報道に【犯人には通院歴がある】と表記されることがあります。
 この【通院】が、内科や歯科でないことはご存知の通りで、つまりは精神科の通院歴があるということです。

 事情通の人の中には
 「SSRIやリタリンといった精神薬が原因ではないか?」
 という疑問を投げかける人もいます。

 確かに、ある種の精神薬は、副作用でイライラしてしまったりすることもあるようです。
 また、患者によっては服用すると、精神的に活発になってしまい、そのため、自分に隠されていた不満が表に出てしまうことにより暴力的になってしまったり、自殺をしてしまうこともあることが、精神医学界では知られています。

 しかし、そういった精神薬のおかげで、毎日通常に社会生活ができている人がほとんどであるのも事実なのです。
 よって、精神的な病気にかかってしまった人は、薬は正しく利用し、イライラしたり、変な感じがした場合、医師や薬剤師に相談し、薬と上手に付き合うのが大切なのでしょう。

 精神薬と暴力については、いろいろな説があるのですが、うつ病などに処方される薬は、“鬱”つまり元気がない状態の人に“元気や行動力がでるようにする薬”なわけです。
 心の病気で動く元気もなくなっていた人が、心の薬を飲むことで元気を取り戻し、これまで心の中に抱えていた“怒り”のようなものが、噴出し暴力行動となるのではないかという説もあります。

 平成21年版の犯罪白書では、第5章に【精神障害のある犯罪者】という項目がでています。

 それのよると、精神障害者、その疑いがある者は検挙された刑法犯のうち、わずかに0.8%しかいません。
 しかし、罪名別に見ると放火犯は14.3%。
 殺人は、10.2%。

 と、殺人、放火といった凶悪犯罪の犯人のうち、10人に1人以上が精神障害者であることが記されています。

 こう書くと、【おかしな人は全員一生、病院にぶち込んでおけ!】という安直にして短絡的な意見が必ずといっていいほど出てきます。
 しかし、病気で苦しんでいて、なんの罪も犯していない人を、強制入院させるというのは、逆によほどひどい犯罪的行為といえるでしょう。
 また、前述したように、刑法犯全体のうち精神障害およびその疑いのある人は、0.8%と大変少ないというのが事実なのです。

 問題は、殺人や放火といった凶悪犯罪です。
 これらを減らすための必要な予防対策というと 、遺伝性が強いといわれている統合失調症(精神分裂病)なども、ストレスや虐待、ドメスティックバイオレンス、いじめなどで発症することがあるそうですから

【普段の生活からストレスや悪い環境等を極力なくすようにしていく】
【うつ病やパニック障害といった病気も同様のストレス等が原因のひとつの要因になることがあるので、そういった要因をなくしていく】
【精神疾患への偏見、差別が早期発見早期治療の妨げになることがあるので、偏見差別を無くすように努力する】
【病気が認められたときは、ちゃんと向き合い治療する】
【社会がそういった障害のある人を認め、共生する】

 などが必要と考えられます。
 近年、心の病気が急増しているともいわれ、決して他人事とはいえません。
 明日は、我が身かあるいは同僚や家族といった身近な人がいつ発病してしまってもおかしくない病気なのです。

 そのため、少しでも偏見差別をなくしていくことも、これらの病気の凶悪犯罪を予防することになるに違いありません。

(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

関連記事


社会→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

社会→

もっと見る→

注目タグ