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またも勝負弱さ見せた大関・稀勢の里に北の湖理事長が大甘発言

 大相撲夏場所(5月12日〜26日=東京・両国国技館)は、横綱・白鵬(28=宮城野)が15戦全勝で2場所連続10度目の全勝Vを成し遂げた。優勝回数は25となり、朝青龍と並び、北の湖、千代の富士(九重親方)に次ぎ、歴代3位タイとなった。

 今場所は日本人大関・稀勢の里(26=鳴戸)が踏ん張り、白鵬とともに初日から13連勝。14日目に両者が直接対決して、白鵬が制した。千秋楽、稀勢の里が勝って、白鵬が敗れれば、優勝決定戦に持ち込まれる可能性が残されたものの、先に相撲を取った稀勢の里が大関・琴奨菊に敗れ、この時点で白鵬の優勝が決まった。

 ふがいない大関陣のなかで、6場所連続で2ケタ勝利をマークしていた稀勢の里の安定感は高かったが、優勝争いになかなか絡めないのが悩みの種だった。今場所は千秋楽まで優勝争いをした上で、13勝2敗の成績は大いに評価されてしかるべきものだったが、その一方で、終盤連敗を喫し、ここ一番での勝負弱さを露呈した。

 稀勢の里は1年前の12年夏場所でも、優勝のチャンスがあった。大混戦となった同場所は、14日目を終えて稀勢の里を含む3力士が11勝3敗でトップを並走していたが、千秋楽で稀勢の里が把瑠都に敗れて脱落。旭天鵬と栃煌山による、史上初の平幕同士による優勝決定戦(旭天鵬が優勝)を演出した苦い過去がある。ここ一番となると、めっきり勝負弱くなってしまうのだ。

 大関として、13勝は立派な成績だが、綱獲りとなると話は別。優勝した白鵬とは2差付いているからだ。横綱昇進への内規は、「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」と定義されている。2差が付いては、とても「優勝に準ずる成績」とはいいがたい。

 ところが、かねて、稀勢の里を評価している北の湖理事長が、「(優勝に)準ずる成績。ふさわしい優勝なら、(昇進の)話題になる。12勝とかなら別だが、ハイレベルなら」と大甘発言をして、稀勢の里が来場所、条件付きで綱獲りとなることを明言したのだ。

 横綱審議委員会では、実績不足で昇進させた双羽黒(北尾)などの失敗例を鑑み、平成以降は2場所連続優勝以外で横綱に昇進させた例はない。北の湖理事長の発言は、その慣例を打ち破ることになってしまう。

 伊勢ヶ浜審判部長(元横綱・旭富士)は、「星が2つ開いている。今はそういう考え(綱獲り)はない」と、北の湖理事長の発言を否定した。あとは横審の考え次第となるが、物議をかもすことになりそうだ。

 「日本人横綱がほしい」との裏事情はわかるが、安易な横綱昇進には問題も多い。ただ、これは来場所での優勝が絶対条件で、稀勢の里自身がコケたら議論にもならない。
(落合一郎)

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