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無謀すぎる貴景勝、強行出場は「若気の至り」では済まされない?

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 右膝の負傷で途中休場し、19日の8日目に再出場するも、結局翌日の9日目から再休場した大関・貴景勝。22日の11日目をもって勝ち越しの可能性がなくなり、7月の名古屋場所でカド番に転落することが確定した。

 1度目に休場した時点で、マスコミや世間からは「無理はしない方がいい」という意見がほとんどだった。再出場後の案の定ともいえる成績にネット上では「全く意味のない強行出場だった」、「まだ若いのに無謀なことをするな」「千賀ノ浦親方も含めて判断が甘すぎる」といった批判が寄せられ、報道を見ると相撲関係者からの苦言が伝えられている。

 22歳の若武者に不満をぶつける人々は、決して悪意を持ってこのようなことを言っているわけではない。現に、過去には強行出場に走り、莫大なツケを払う羽目になった事例が複数存在する。

 最も記憶に新しいのは、1月の初場所で引退した稀勢の里(元横綱、現荒磯親方)。2017年春場所で左胸に負傷を負いながら賜杯を手にするも、その代償は大きく翌場所から2018年秋場所まで8場所連続休場(横綱では史上ワースト、途中休場含む)。結局、引退までコンディションが戻ることはなかった。

 「大関」に絞ると、具体例となるのは照ノ富士(現三段目)。2017年春、夏場所で左膝の状態を悪くするも、どちらの場所でも優勝争いを演じていたため出場を継続。その結果左膝半月板損傷で名古屋場所、秋場所は途中休場に追い込まれ、14場所在位した大関の座を失うこととなった。

 強行出場が尾を引いたのは、貴景勝のもともとの師匠である貴乃花(元横綱)も同様だ。右膝に重傷を負いながら優勝決定戦で武蔵丸(元横綱、現武蔵川親方)を下した2001年夏場所のシーンは広く知られているが、その翌場所から7場所連続休場。その後、2003年初場所中に現役を退く決断を下している。

 怪我に対する判断を誤れば、その後の土俵人生も簡単に狂ってしまう。今回の貴景勝に関しても、これが「若気の至り」で済まなくなる可能性は少なくない。

文 / 柴田雅人

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