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夏の甲子園 星稜vs習志野 戦力アップの「サイン盗み」

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提供:週刊実話

 101回目となる夏の甲子園大会が8月6日に開幕する。令和最初の大会だが、その新しい1ページには、「遺恨」の2文字が刻まれそうだという。今春、「サイン盗み」の疑惑で揺れた星稜(石川)と習志野(千葉)の再戦があるかもしれないのだ。

 星稜はエースの奥川恭伸投手(3年)が小松大谷との決勝戦で完投し、甲子園行きの切符を手にした。「令和の怪物」こと、大船渡高校(岩手)の佐々木朗希など何人かの好投手が地区予選で消える中、奥川は安定した投球を見せた。
「星稜は昨夏の甲子園の時点で、『2019年の優勝候補』と言われていました。2年生中心のチームでしたが、投打ともに全国レベルの好選手ばかりで、彼らが順調に育てばかなり強いチームになると見られていたからです」(スポーツライター・美山和也氏)

 最速163キロの佐々木ばかりが有名になったが、奥川も好投手である。球速はMAX158キロだが、佐々木より球種が豊富。そして、何よりストレートの質が絶品だ。スピンが掛かっていて、打者の手元で浮き上がってくるのだ。その好投手をセンバツで打ち砕いたのが、習志野高校だった。
「二塁走者が星稜・捕手のサインを覗き見て、打者に奥川の投げる球種を教えていたと言う。捕手のサインは二塁走者から丸見えで、やむを得ないことなんです。高野連では『サイン伝達』は禁止としています」(アマチュア担当記者)

 星稜の林和成監督が試合後に習志野ベンチに行って異例の直接抗議をし、その抗議に対して、今年6月までペナルティーを課せられていた。習志野・小林徹監督が冷静に対処したこともあってそれほど大問題にはならなかったが、これで一件落着とはいかなかった。
「甲子園の一部常連校は、『サイン伝達はある』という前提で試合に臨んでいます。試合途中でサインを変えたり、故意に捕手の構えているところとは逆方向に投げるなどして防いでいるのです」(同)

 甲子園の試合中継でも、二塁走者がヘルメットを触ったり、リードを広げる際の腕の下ろし方など“不自然な動作”は少なくない。習志野サイドの「やっていない」発言を信じたいが、こんな声も聞かれた。
「昨夏、2年生中心だった星稜は秋の神宮大会でも優勝候補とされたが、新興の札幌大谷に決勝戦で敗れています。監督への謹慎措置もあって、『絶対に勝ちたい』の思いは強く持っているはずです」(同)

 千葉県大会を観戦した前出・美山氏がこう言う。
「決勝戦で習志野は、初回の先頭打者本塁打で主導権を握りました。対戦した八千代松陰のピッチャーも名の知れた好投手で、準決勝の木更津総合戦では9回裏二死から同点とし、延長戦で逆転勝ちしました」

 走者を置いた1本がほしい場面で、ほぼ確実に安打が出ている印象だという。
「粘り強く、選手も精神的にたくましい。同時に、強豪校の対策をしっかりやっているんだと思いました」(同)

 習志野は千葉の高校野球の歴史を作った伝統校だが公立校(市立)。県内では機動力野球の指導で一目を置かれている。「機動力」が得意なことが“誤解”を広げたのかもしれない。
「習志野はブラスバンド部も有名です。習志野市にふるさと納税をすると、そのブラバンのDVDが特典についてきます。センバツは習志野にとって10年ぶりの甲子園で、その快挙の裏で『サイン盗み』疑惑をかけられ、ガッカリした行政関係者もいました」(同)

 対する星稜には「再スタート」「雪辱」の言葉がついてまわる。キーマンはやはり、エース・奥川だ。
「奥川もしたたかです。彼の投球は直球とスライダー、フォークのコンビネーションが軸ですが、県大会では走者を背負うと、『全力投球の演技』をしていました。味方を鼓舞するためですよ」(プロ野球スカウト)

 星稜は昨夏の大阪桐蔭を彷彿させるところもある。すでにU―18、U―15の日本代表を経験した選手も少なくない。2年生の荻原吟哉、寺西成騎も「来年のドラフト候補」(前出・スカウト)と言われており、精鋭を集めたチームである。

 対する習志野は「伝統校で野球をやりたい」と千葉県内から集まった猛者もいるが、やはり学校行事優先の公立校。昨夏は地元球児だけで戦った。ただ、日本中から好感を得た金足農(秋田)と大阪桐蔭の決勝戦を思い出すと、「精鋭(私立)VS公立」の対決では、後者を応援するファンのほうが多くなる。なのに、今夏は「星稜ガンバレ」の声が多いのは、センバツでの疑義が払拭されていないからだろう。
「今夏は好投手の多い大会と称されていますが、横浜・及川雅貴など予選で消えた投手も少なくありません。岩手大会では佐々木の名前ばかり報じられていましたが、大船渡に勝った花巻東は投打ともに相当ハイレベルなチームです。今まではエースの西舘勇陽が頑張ってきましたが、左腕の中森至が故障から復帰し、連戦にも耐えられる状況になりました。圧倒的な力を持つ本命校がいないので、花巻東もかなりの有望校です」(前出・美山氏)

 大会前に高野連役員は「連投」「球数制限」について意見交換をする。故障を防ぐために佐々木に連投させなかった大船渡高の決断に共鳴する関係者も少なくなく、議論が加熱するかもしれない。とはいえ、ファンの心境は「サイン盗みのモヤモヤに決着を」か…。

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