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恐怖の“負の食物連鎖”微小プラスチックが人糞から検出

 ヒトから魚介類へ、魚介類から人間へ…恐怖の“負の食物連鎖”が始まった。日本の周辺海域を漂う海洋プラスチックは、北太平洋の16倍、世界の海の27倍と多く、マイクロプラスチック(以下MP=微小なプラスチック片)のホットスポットだと言われている。MPはいったん海に流出すると、魚介類の体に取り込まれる。それらの魚や貝類を日常、人が口にしている。これが、ついに人間の便からも検出された。いま、MPが、重大な環境汚染として世界的に社会問題になっている。

 「MPは大きさ5ミリ以下の微小片で、海に流れ出たプラスチックごみが紫外線や波の力で細かく砕けたものや、プラ製品の原料となる『レジンペレット』、歯磨き粉や洗顔料にスクラブ(研磨剤)として含まれる小さな粒の『マイクロビーズ』などがあります」(サイエンスライター)

 流木や海藻なら、微生物などの働きでやがては分解され、二酸化炭素や水などに戻るが、プラスチックはいくら小さくなっても消滅することはない。

 「オーストリア環境庁とウィーン医科大の研究で判明しました。日本やイタリアなど8カ国の33〜65歳の男女の便を調べたところ、全員の便に0・05〜0.5ミリメートルの大きさのMPが入っていた。平均で便10グラム当たり20個のMPが見つかったそうです」(同)

 健康への影響については現時点では不明だが、MPにPCBやダイオキシンなどの有害物質が付着し、人間の体内に取り込まれると大問題。山梨大医学部名誉教授の田村康二氏が言う。

 「異物が体内に入ると危険です。プラスチック片については立証されていないが、便から出たということは、それ以上のものを摂取しているかもしれない。身近な生活環境を見てみると、スーパーのレジ袋が問題になるが、レジ袋を使っているのは日本くらいのものです」

 前述したように、ごみとして捨てられたレジ袋やペットボトル、ストローなどが海に流れ出て細かくなり、それを魚が餌と一緒に取り込んで、人間がその魚を食する──最悪の“負の食物連鎖”が、ミクロの世界で進行しているのである。

 最新の研究では、世界の食卓塩の9割以上にMPが混入しており、アジアの汚染が最も深刻だという。沈黙を守っていた大自然が、目に見えぬMPを介して人類に牙を剥いてきた。

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