「星野氏がチームを優勝に導いたのは'03年。当時の快進撃は神懸かったものがありました。今また、長く優勝から遠ざかってしまったので、『'03年の再来を』の空気が強くなっています。故人がFAで獲得した金本が監督となり、優勝すれば最高の絵柄です」(在阪記者)
金本監督も故人を意識するような言動を始めたが、全く異なる面もあるという。
4月3日、阪神ナインは翌日からのDeNA戦に向け、ナイター練習を行った。それを見守る金本監督を記者団が取り囲むと、話題にあがったのが高山俊だった。
「2試合分くらい取り返してくれないと。クリーンヒットで」
取り返すとは、開幕3戦目での失策のことだ。記録上は二塁打だが、高山は巨人ゲレーロの打球を捕り損ねた。いったんグラブに入ったがポロリ。逆転負けの契機になってしまった。
「金本監督は『あんまり言うと、プレッシャーになるかな』と、最後に笑っていました。作り笑いです。メディアを介して選手を叱り、最後に持ち上げるのは星野氏の人心掌握術と同じですが、決定的な違いがあります。星野氏はミスをした選手を叱り飛ばしますが、翌日まで引きずりませんでした」(ベテラン記者)
高山に期待しているのは間違いないが、その伝え方がおぼつかないのだ。
「投手では藤浪晋太郎と小野泰己ですよ。与えた課題のハードルが高すぎるのです」(同)
藤浪の初登板は開幕2戦目。3回までに2点を失っていたが、4、5回でボールに勢いが戻ってきた。しかし、復調しつつあった5回のマウンドを務め上げた直後の6回表、先頭バッターから2者連続安打で、次の打者は藤浪。「代打起用」の場面だったが、金本監督は藤浪をそのまま打席に立たせた。藤浪のノーコン病が再発したのはその裏のマウンドからだった。
「4日の先発マウンドを託された小野は、7回まで無失点。その7回表、金本監督は小野をそのまま打席に送り出しました。小野が打たれたのは、やはりその裏のマウンドなんです」(前出・在阪記者)
小野が打席に立った時点で、リリーフ陣は肩を作るのを止めてしまった。「完投させるつもりなんだ」と察したからだ。小野自身も打席が回る7回表を意識し、6回裏で交代と思っていたのかもしれない。
その後、準備不足のリリーフ陣が失点。小野に勝ち星は付いたものの、指揮官の継投ミスがいらぬ窮地を招いたのだ。
「金本監督は投手交代のタイミングがワンテンポ遅い。走者を1人出した時点で代えてやれば、藤浪、小野は次の先発登板にも期待が持てたのに」(同)
勝っても「打たれた」の印象を残し、藤浪に関しては「やっぱり今年もダメ?」とファンに印象づけてしまった。まるで晒し首だ。
期待の大きさゆえだが、金本監督は慣れない星野流と決別しなければ、今年も優勝は目標のままだ。