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東京五輪マラソン札幌開催 小池都知事に吹く「再選当確」の追い風

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提供:週刊実話

 東京五輪マラソン、競歩競技の札幌移転へ激しく抵抗していた小池百合子都知事は11月1日、「合意なき決定」「札幌変更で都の追加費用はゼロ」などの条件で決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)の軍門に下った。

 小池氏はさぞかし失意のどん底にあるかと思いきや、然に非ず。「今回のIOCの決定に内心、高笑いが止まらないようです」と明かすのは都議会関係者だ。

 というのも、IOCに対し徹底抗戦の姿勢を猛アピールしたことにより、都民の小池評価が高まったからである。来年に行われる都知事選挙で再選確実の追い風も吹き始めたというから強運の持ち主だ。

 「“ドーハの悲劇”を再現するな」を合言葉に、突如、北海道・札幌への会場変更が急浮上した東京五輪マラソン。その背景を都庁関係者が明かす。

 「直接のきっかけは、9月27日から10月6日までカタール・ドーハで行われた陸上の世界選手権です。暑さ対策で深夜に競技を行った女子マラソンですが、スタート時の気温は32度、湿度73・3%で最悪のコンディション。出場した68選手中、28人が棄権した。7位に入賞した谷本観月が所属する天満屋の武冨豊監督は『2度とこんなレースは走らせたくない』とコメントしたほどです」

 女子マラソンと同じような気象条件で行われた男子50キロ競歩にしても、47選手中、完走できたのは失格者を含め28人だった。
「東京五輪マラソンは8月上旬に行われ、ドーハ同様の高温多湿で酷暑。棄権者どころか死人が出るとまで囁かれていた。それを回避するため、札幌案が急浮上したといわれます」(同)

 IOCから相談を受けた大会組織委員会の森喜朗会長は小池都知事と犬猿の仲。これまで五輪会場、経費負担問題等で両者は再三激突している。森氏にすれば、天敵の小池都知事を外して事を進める方向で動き始めた形跡の他にも大きな思惑があったという。
「IOCから最初に話を持ち込まれた森氏は、IOCの決定には逆らえないことを熟知していた。同時に、IOCの絶大な権限を利用したと、もっぱらです。つまり、積極的ではないにしろ五輪の華であるマラソンを東京以外の都市に変更することで、小池都知事を混乱させる…。指導力、政治力のなさを都民にみせつけ、来年の都知事選を有利に運びたい腹もあったはず。でなければ、組織委員会が打診を受けてから都知事に報告するまで空白の約1週間の説明がつかない。外堀を完全に埋めたうえで、IOCの決定事項を最後に小池都知事に通知したのでしょう」(都議会関係者)

★策士策に溺れた菅官房長官

 まず外堀は安倍首相、菅官房長官、橋本聖子五輪担当相、北海道と札幌市…。次々と了承を取り付けたうえで、IOCの札幌開催発表(10月16日)前日に小池都知事へ知らせたという。
「ことさら、外堀りを埋めるのに大きな役割を果たしたとされる人物が、菅官房長官です」(自民党関係者)

 小池氏と菅官房長官の関係が“水と油”なのは有名だ。小池氏は衆院議員時代の自民党総裁選(2012年)で、安倍氏を推す菅氏に同調しながら、最後の最後、石破茂元防衛相に寝返った。前回の都知事選でも菅官房長官肝入りの増田寛也元総務相と激突し勝利した。
「札幌への会場変更話がIOCから持ち込まれると、菅氏は森氏同様、小池潰しの最大チャンスと捉えた節がある。IOC案に賛成し、自分が担ぎ出し当選させた鈴木直道・北海道知事に全面支援OKの返事を水面下で取り付けたのです」(同)

 しかし、小池氏は2人の想像を上回る反撃に出た。
「機を見るに敏な小池氏は、森氏と官邸の梯子外しを再選への千載一遇のチャンスと捉えた。IOC、大会組織委員会、官邸は抵抗勢力。巨大権力に徹底抗戦を仕掛ければ、悲劇のヒロインのイメージを高められ再選確実と即座に読んだのです。案の定、小池氏の孤軍奮闘する姿に、都に寄せられた都民の声の9割は札幌移転反対。毎日新聞の全国調査でも、移転を『支持しない』が47%、支持が35%。逆に小池氏をないがしろにした森叩きも一挙に盛り上がる始末です」(小池シンパ)

 小池氏は世論をバックに強気の姿勢を崩さない。10月30日のIOC協議では約10分間にわたり「1400万都民の代表として納得のいく説明を」「ワンチーム」を前面に出し、まるで世界に「IOCいじめ」を発信するかのように英語と日本語を駆使し発言した。

 これには、IOCのコーツ調整委員会委員長と森氏も真っ青だった。
「自民党は都連を中心に都知事選に独自対抗馬を擁立するはずだった。しかし、今回の東京五輪マラソン移転騒動で小池氏と戦っても、勝つのは至難の業です。都知事任期は来年7月30日まで。何もなければ、都知事選は東京五輪・パラリンピックの最中に行われるわけですからね。小池氏は都知事初当選時に旋風を巻き起こした後、舌禍で大失速した。以降、再選には黄色信号が点滅していた。しかし、都民から『知事はよく頑張った』の評価が一気に高まり、支持率も上昇したはず。誰が出馬しても怖くない」(同)

 仮に、酷暑の東京でマラソン、競歩を開催したら各方面から何かしらの批判は噴出していただろう。
「暗雲が立ち込めていた再選も視界良好となった。札幌変更は、まさに逆転満塁ホームランですよ」(同)

 百合子は両手に花。

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