「ここ10年は菓子袋に食用油1本、歯磨きセットが出たり出なかったりです。今年は8・15節(祖国解放記念日)に食用油1本が出たのが最後で、9・9節(建国記念日)と10・10節(朝鮮労働党創建記念日)は何もありませんでした」(北朝鮮ウオッチャー)
国連の経済制裁が利いているということだが、労働党員だけの権力機関である党機関や人民委員会(地方政府)、司法検察機関、貿易会社などは、副業から自力で特別配給を出し、食用油や砂糖、豚肉、化学調味料などが出たという。軍兵士はどうだったのだろうか?
「ある部隊には、10・10節に兵士1人当たり豚肉100グラムが供給されましたが、核・ミサイル関連部隊を除いて全体的に何もなかったようです。軍兵士は“略奪”でしのいでいますよ」(同・ウオッチャー)
北朝鮮も台風13号(アジア名:レンレン)に襲われ、刈り入れ前の水田に甚大な被害が出たと北朝鮮メディアも伝えている。
「各地の農村では、9月中旬から毎年恒例の『穀物検問』が始まりました。収穫されたコメやトウモロコシが農場から流出するのを防ぐためのもので、保安員(警察官)と除隊軍人が農村から外部に向かう道路に立って荷物検査をするのです。農場外に持ち出せる穀物は農民1人当たり15キロまでに制限されています。市場で売るためにこっそり持ち出そうとする商売人もいるにはいますが、見つかると全量没収されます」(同)
いくら貧しい非労働党員の子どもでも、誕生日などの特別な日には外食しようとするが、肉のスープ1万ウォン(約130円)、冷麺5000ウォン(約65円)という値段を見て誰もが尻込みする。
「そこで登場したのが、『1000(13円)ウォン食堂』です。人気なのがコメを1粒も混ぜていないトウモロコシ飯にキムチとジャガイモスープ付きのメニューです」(同)
日本なら“健康食”だが、正恩氏は見たこともないだろう。