「晩年は小屋と病院の往復という生活だった。体力が衰え、ドクターストップが掛かっても絶対に諦めなかったのが高座へ上がること。肺気腫による退院直後にもかかわらず約1時間にわたって十八番の『竹の水仙』を披露したことは落語家界でも語り草になっています。師匠の口癖は『芸人は目をつぶるまでがすべて修業』。多くの若手落語家が影響を受けていました」(演芸担当全国紙記者)
そんな歌丸が最も心に掛けていたのが『笑点』メンバーと司会者を巡る後継者問題。亡くなる数カ月前ほどから、親しい知人にある言葉を残していたという。
「入院中、病室に訪れる親しい関係者に『昇太は大丈夫か…』と、司会を務める春風亭昇太の回しっぷりをずっと気にしていた。客を意識しすぎて自分の芸ができていない、視聴率や客受けばかりを考え、落語家として大成できなくなってしまうことを心配していたというんです。休ませる意味でも、一度、期間限定で他のメンバーに譲るという案を関係者に漏らしていたといいます」(テレビ事情通)
昇太とは、まるで実の親子のような親密な関係を築いていたという歌丸。そんな昇太の後見人に指名したのが、大ベテランの三遊亭円楽という。
「昇太をプレッシャーで潰さないための苦渋の選択です。円楽は信頼でき、実は情深い。彼に一門の枠を超えてすべてを託したかったようです」(日テレ関係者)
さらに、こんな声も…。
「歌丸一門には5人のお弟子さんがいますが、正直、人気面ではイマイチ。もし円楽が司会になれば、『笑点』レギュラーメンバーに引き上げてくれるのではないかという“親心”もあったようです」(テレビプロデューサー)
ちなみに、『笑点』メンバーになるということは落語家としての未来が約束されていることを意味する。
「落語家の収入源は高座と営業のギャラ。だが、『笑点』の知名度を活かせば全国で独演会をやってもチケットが飛ぶように売れるんです。1公演1000万円以上の手取りは確実。さらにCMやバラエティーやドラマ、映画出演なども可能になる。最低でも1人、1億円以上の年収は間違いない」(同)
落語界の損失は大きい。