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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 財務省の完全犯罪

 TBS系のJNNによる世論調査で、安倍内閣の不支持が支持を上回った。調査は4月8日、9日の2日間で行われたが、安倍内閣の支持率は、前月より9.3ポイント減の40.0%だった。一方、不支持率は9.5ポイント増の58.4%で、6カ月ぶりに不支持が支持を上回ったのだ。

 この結果を見て、財務官僚たちは、心のなかで祝杯をあげているのではないか。野党やメディアは、相変わらず、森友学園に国有地が8億円引きで払い下げられた事件は安倍昭恵夫人への忖度が働いたからだと、安倍総理の責任を追及し続けている。しかし、私は当初から、財務省による自作自演の可能性を指摘してきた。2012年の安倍政権誕生以降、安倍総理と財務省は、消費税を巡って壮絶な戦いを続けてきており、実際、安倍総理は、過去2度にわたって消費税率の引き上げを延期した。財務省にとって、安倍晋三という政治家は許しがたい存在なのだ。
 しかも、一昨年秋くらいから、安倍総理は消費税率を5%に戻す気配をみせていた。堪忍袋の緒が切れた財務省が、安倍政権倒壊を狙って仕掛けた茶番劇が森友学園問題だというのが、私の見立てだ、主犯は、財務官僚と麻生財務大臣だ。

 森友学園への国有地売却に関する決裁文書が改ざんされていた問題に関して、財務官僚は、本省からの指示で近畿財務局が行ったことだと認めている。有印公文書偽造の自白は得られているのだ。また、改ざん前と改ざん後の決裁文書も、大阪地検が押さえている。物証も完璧なのだ。
 これだけ完全な証拠が揃っていながら、最高刑懲役10年の重大犯罪である有印公文書偽造事件は、いまだに立件されていない。財務省から1人の逮捕者も出ていないのだ。その理由を、法律の専門家は、こう言う。
 「決裁文書の場合、有印公文書偽造が成立するためには、他者による偽造がなされている必要があり、財務省自身が改ざんした場合は、罪を問えない」

 そんなバカげた話はないと思うのだが、法律ではそうなっているらしい。財務官僚は、自分たちが罪に問われないことを知っていて、安倍政権を揺さぶるために、あえて決裁文書の改ざんを行ったのではないか。そう考えると、改ざんを報じた朝日新聞のスクープも、財務官僚がわざとリークしたのかもしれない。
 しかし、仮に財務官僚への刑事責任追及が法律の不備でできなかったとしても、決裁文書改ざんの責任を財務官僚に取らせる手段は残されている。懲戒処分だ。財務官僚は、決裁文書改ざんを大臣にも隠していたということになっている。そのことによって、麻生氏は国会で陳謝を繰り返し、政権が危機に陥ったのだから、改ざんに関わった財務官僚を即刻、懲戒免職にすべきだし、それはすぐにできるはずだ。ところが、そうした動きもまったくない。
 また、麻生氏自身も、これだけの不祥事を起こしながら責任を取って辞任する気配をみせていない。実は麻生氏は自らの派閥を確実に増やして、すでに自民党内の第二派閥に成長させている。安倍政権が崩壊ということになれば、総理への返り咲きは無理でも、事実上の支配者になることは十分可能だ。このまま行けば、財務官僚と財務大臣の完全犯罪が成立するのだ。

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