「すぐに検察が抗告し、翌日には東京高裁が保釈の請求を退けましたが、朴被告は裁判員裁判で『私は妻を殺してはいません』と一貫して否認。弁護人も『(被告の妻は)他殺ではなく自殺で、無罪です』と主張していました」(司法記者)
検察側は「1階寝室のマットレス上で妻の頸部を圧迫して死亡させ、その後、妻を階段から落下させるなどの偽装工作をした」と主張。弁護側はこう反論した。
「朴さんが帰宅すると、妻が包丁を握って立っていた。『息子を殺して私も死ぬ』と階段を下りたので妻を追いかけ、もみ合いになった。子供を抱っこして2階の子供部屋へ入り、ドアを閉めた。しばらくしてドアの外に出ると、妻が階段にいて、首にジャケットが巻かれ、手すりに巻きつけて動かなくなっていた」
朴被告が警察に状況説明を二転三転させた理由も弁護人は次のように代弁した。
「お母さんが自殺した、とは子供達に絶対言えない。階段から落ちたことにできないか、そんな思いがよぎった」
朴被告には4人の子供がおり、妻が強い育児ストレスを抱えていたことは証拠で明らかになっている。しかし別の証拠では、妻が死亡時に失禁した尿班が、検察側が殺害現場だと主張するマットレス上にあったことが判明。3人の医師が出廷した証拠調べでも、朴被告に不利な証言が相次いだ。
「逮捕直後、朴被告の肩には複数の傷があったが、これは3人とも『被告が自分でつけた傷だ』として、偽装工作の疑いが残る印象でした」(前出・記者)
傍聴した事件記者が言う。
「東京地裁でも意見が分かれているのではないでしょうか。ただ、保釈すれば子供と心中する恐れもあった。高裁の判断が妥当ですよ」
朴被告は4月7日に東京高裁に控訴した。