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電話に出るな! アポ電強盗 被害者奪い合い半グレの凶暴化①

 親族を装って高齢者宅に電話を入れ、財産があると判断するや、自宅に押し入って根こそぎ奪い取る「アポ電強盗」。遂に死者まで出る事態となり、世間を震撼させている。

 2月28日、東京・江東区の80歳の女性宅に3人組が侵入。女性の頭部に粘着テープを巻きつけて窒息死させ、室内の棚や引き出しを荒らしたほか、インターフォンを破壊して本体ごと持ち去った。この女性は、2月中旬に「お金はありますか?」という不審な探りの電話を受けたと知人男性に相談していた。

 警視庁は強盗殺人容疑を視野に捜査しているが、犯行にずさんな点も目立つという。
「女性宅の室内は激しく荒らされていましたが、寝室にある本棚の引き出しの中の封筒に約130万円、札入れに約20万円が残っていた。また、寝室の押し入れには布で覆った据え置き型の金庫もあったが、物色された形跡はなかったそうです」(全国紙社会部記者)

 そもそもアポ電は、オレオレ詐欺グループが用いた手口。捜査関係者は、こうした半グレが凶暴化した可能性が高いと指摘する。
「金目の物さえ奪えればいいのに、粘着テープを緩めるなどの配慮をせず、抵抗力が乏しい高齢女性をむざむざと死なせてしまった。強盗に慣れた者の犯行とは考えにくい。オレオレ詐欺をやってるような連中が“進化”した恐れがある」

 アポ電強盗は、今年に入って急増している。

 1月11日未明には渋谷区初台の高齢者の住宅で現金約2000万円と宝石類が奪われ、2月1日にも渋谷区笹塚で現金約400万円が奪われている。
「いずれも3人組の犯行で、逃走車両も類似。事前に、被害者宅に家族を装った不審なアポ電がかかってきていたことから、警視庁では江東区の事件と同一グループの可能性が高いとみています」(前出・記者)

 笹塚の事件の犯人は、被害者の息子が医師であることを事前に調べており、「レントゲンが壊れた」という理由で、自宅にある現金の額を聞き出していた。
「犯行グループは、アポ電のさらに前段階で、すでにターゲットの身辺の情報を入念にリサーチしている。笹塚のケースでは、名簿業者などを使って医療関係者の個人情報を集めたのだろう。その上で、当日、自宅にいくらぐらい現金があるかをアポ電で確認している。非常に巧妙だ」(警察OB)

 詐欺罪なら10年以下の懲役で、併合罪でも15年以下が相場とされる。一方、強盗殺人罪で有罪判決を受ければ、死刑か無期懲役という重罪が待っている。殺意が否定されて強盗致死罪となっても、有期刑上限(懲役30年)に近い結果となるだろう。

 “プロ”は間尺に合わない犯罪には手を出さない。なぜオレオレ詐欺グループは、そんな領域にまで踏み込んできたのか。

「半グレという言葉通り、ヤツらは“プロの犯罪集団”でもなければ、盃をもらったヤクザでもない。単純に、オレオレ詐欺で食い詰めたから、後先考えずにタタキ(強盗)を始めたんだよ」(暴力団関係者)
(明日に続く)

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