「1日に選考が解禁されるのは経団連に加盟する大手企業ですが、その他の企業では優秀な学生を確保すべく青田刈りを行っています。内定辞退を考慮し、募集人数を上回る学生に内々定を出さざるを得ません。採用数が下回るとまずいので…」(外資系企業の人事担当)
ある学生が「内定をもらうと自信が付く。どこまで通用するのかゲーム感覚で採用試験を受けています」と語るなど、就職の意思がない企業を受け続ける者もおり、入社希望者の弊害となっているほどだ。
「大手でさえ学生の争奪戦が激化している。中小企業はなおさらです。募集をしても応募がない。就活イベントをしても中小企業のブースはいつもガラガラです。魅力的な中小企業はたくさんありますが、学生の大手志向が根強く、有名企業しか念頭にないようです」(人材系企業担当者)
かつてはIT系ベンチャーブームがあったが“悟り世代”には残業が多く給料が安いという“ブラック”のレッテルを貼られ敬遠されているという。
では、実際に大手企業に入れば幸せなのだろうか。
「某名門大学の学生は、有名企業ばかりを狙って応募したものの志望動機が定まらず、不採用の連続でした。結局、学校の推薦枠で誰もが知る超大手企業のグループ会社に就職。ところが、入社3カ月足らずで休職してしまった。有名企業に就職すると求められるレベルが高すぎて、ストレスから心身のバランスを崩す場合も少なくないのです」(同)
昔は石の上にも3年といわれたものだが、入社数カ月で転職するケースが相次いでいる。売り手市場は学生をぬるま湯に漬からせ、やる気のない人間を輩出していると言っても言いすぎではあるまい。