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北海道震度7 迫りくる南海トラフ、首都直下型「巨大地震」Xデー①

 「青森沖から北海道・根室沖にかけては近い将来、海溝型の巨大地震が発生すると見られています。今回の直下型の内陸地震はその前兆であるとされます」
 防災ジャーナリストの渡辺実氏はそう指摘する。

 9月6日午前3時8分頃、北海道胆振地方中東部を震源とした深さ37㎞、マグニチュード6.7の大地震が発生した。
 北海道安平町で震度6強、厚真町鹿沼では最大値の震度7を観測した。揺れは広範囲に渡り、震源地周辺の各地で、住宅の倒壊、土砂崩れ、液状化現象などが起きている。
「熊本地震のように、震源(深さ11㎞と12㎞)がもっと浅かったら、さらに甚大な被害が出ていたでしょう」(渡辺氏)

 10日時点の死者は44人に及んだ。
「厚真町では大規模な土砂崩れが発生し、建物が倒壊、住居内に人が取り残されました。土砂崩れがあった現場は、以前から危ない地域と指摘されていた。千歳基地から航空自衛隊の救難隊が被災地域に到着、すぐに救助活動を展開しました」(大手紙社会部記者)

 また、道内すべての火力発電所が運転を停止したため、道内全域の約295万戸で大規模停電(ブラックアウト)が発生した。8日にはほぼ解消したが、道民生活はもちろん、農作物への影響が心配されている。

 気象庁は今回の地震を『平成30年北海道胆振東部地震』と命名した。政府の地震調査委員会(委員長・平田直・東京大学地震研究所教授)は「震源近くにある活断層で発生した地震ではない」との見解を表明した。地下深いところにある断層が、上下方向に動いたとみられている。

 武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏が言う。
「全国には未知の活断層が6000あると言われていますが、北海道胆振東部地震が発生したところはその未知の活断層。怖いのはこうした活断層がいつ動くか全く分からないことです。毎年、地震予測地図が国の機関から発行されていますが、今回地震が発生したのは比較的安全とされる黄色に塗られた地域だった」

 北海道胆振東部地震は東北東と西南西方向から地殻が圧縮されて断層が上下方向にずれる「逆断層型」。震源の西方には活断層の石狩低地東縁断層帯が南北に走っており、長さ約66㎞の「主部」と54㎞以上の「南部」がある。

 この活断層は今回の地震とは無関係だが、平田委員長は「震源付近の断層帯がより活動しやすくなった可能性も否定できない。地震発生から1週間程度は最大震度7程度の地震に注意が必要」と、新たな地震発生にも注意するよう呼びかけた。
 北の大地を襲った震度7の大地震については、さまざまな警戒が必要とされている。

 琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏が語る。
「日本列島を全体的に見ると、北海道から九州まで太平洋プレートは同じようにプレッシャーをかけてきます。東京から九州にかけてはフィリピン海プレートを通じてですが、北海道の内陸地震の原因になったプレッシャーは関東、東海、四国、九州にもかかってくる。ということは、歪が溜まっているエリアがあれば、それが巨大地震の原因となるということです」

 ちなみに、木村氏が一番心配しているのは、北海道・知床半島の羅臼町で、海岸沿いの海底が約300㍍にわたって隆起したことを挙げている。同地点では海藻やウニなどの海洋生物が多数付着しており、海底が隆起した根拠とされる。
「これは羅臼沖の空白域に太平洋プレートのプレッシャーがかかってきて、周辺が膨らんできたということです。私は“空白域が危ない”と以前から指摘していますが、羅臼のほかに、伊豆、小笠原沖を危険視している。例えば、江ノ島沖の海底が隆起したという報告もありますから。江ノ島沖の隆起や西之島の出現は、伊豆、小笠原沖の空白域にプレッシャーがかかっているためですよ」(同)

 前出の渡辺氏は今の状況を「天地動乱」と形容するが、歴史を紐解いてみると、まさしく江戸時代末期に似ているのだ。

「江戸末期には安政江戸地震が発生し、約1万人の死者が出たそうです。当時は地震の活動期で南海トラフ巨大地震が発生し、高知でも大きな被害が出たことが司馬遼太郎の小説『竜馬がゆく』にも出てきます」(サイエンスライター)

 同時に、九州東部から関東を縦断する大断層の『中央構造線』が活性化し、中央構造線沿いでの巨大地震が相次いだ。

 まず1854年、伊賀上野地震が発生。死者は995人、家屋倒壊2270戸という被害を出した。次いで同年12月には、安政東海地震、安政南海地震という巨大地震が発生している。

 まだある。安政南海地震の40時間後の12月26日には、大分、愛媛の海峡である豊予海峡地震があり、翌1855年には、飛騨地震が発生、そして、ついに同年11月、安政江戸地震が東京を襲ったのだ。
 まるで地獄絵図のような大地震が立て続けに日本列島を急襲したことになる。

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