紀平への期待は高まる一方だが、スケート連盟、ならびにフィギュアスケートの関係者たちは“別の期待”も寄せている。「浅田ロスの負債解消」である。
「これまで、連盟は若手がシニアデビューするたびにエールを送っていました。『ポスト浅田』といわれた若手もたくさんいましたが、ようやくホンモノが現れました」(スポーツ協会詰め記者)
今さらだが、浅田が休養していた2014〜15年、そして17年の引退時、フィギュアスケートの興行収益は激減した。浅田が活躍していた13年は決算で47億円強の事業収益があったが、それに対し、最新の決算報告となる17年度は約28億円。「平昌五輪の開催されたシーズンなのに…」というのが、関係者たちの声だ。
「羽生結弦が故障のため、国内で行われた昨年の主要大会を欠場した影響と伝えられました。でも、五輪開催イヤーであり、ファンは『誰が代表になるのか』と興味を持って羽生欠場の大会を見守っていたはず。羽生がいないのは確かに痛かったのですが…」(同・記者)
「羽生がいないから」「浅田ロスのダメージが続いているから」などと言い続けていたら、改善は見込めない。連盟は紀平の大躍進で“甘え”からの脱却を目指し始めた。
「今後、大会関係者は紀平中心のピーアールに専念します。彼女への期待はもちろんですが、テレビ局や協賛企業への売り込みも凄まじいものがあります」(同)
紀平がフィギュアスケートを始め、浅田真央を見ていたのは小学生だったころ。テレビ中継があって、多額な放映権料が振り込まれる構図も、浅田時代からの話だ。
「浅田の時代が異常だったとも言えます。羽生は18年シーズンも故障でフル出場できませんので、期待が持て、お客が呼べるスケーターは紀平しかいません。かわいそうだけど、頑張ってもらうしかない」(関係者)
16歳で日本フィギュア界の屋台骨まで背負わされてしまった紀平。人気先行だった本田真凜の実力が伴っていれば、紀平の負担も少なかっただろうに…。