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深夜アニメの中でも異彩を放った『魔法遣いに大切なこと』

 深夜アニメは、今のように原作系の作品が主流になる以前、かなり実験的なものも多かった。2003年3月、角川大映(現・角川映画)が関わった初のアニメ作品である『魔法遣いに大切なこと』は、その中でも異彩を放っている。

 この作品は、アニメ、マンガ、ノベルなどで同時展開するメディアミックス作品で、企画段階では実写映画としての制作も考えられていた。主人公の菊池ユメの声優は当時、まだそれほど有名ではなかった女優の宮崎あおいがを担当。深夜アニメで声優以外の役者が出演すること自体はそれほど珍しいことではないが、主人公に抜擢というのはかなり珍しい。世界観は魔法が当たり前に存在する世界で、国家研修を受けるため主人公が東京に上京、「魔法士」になるまでの成長を描く話である。放送当時から奇抜すぎるシーンの数々が深夜アニメ視聴者の間では話題を呼んでいた。

 まず第1話から親切にされただけの通行人に主人公が、魔法で本物と見分けのつかない大量のお金を生成して無理やり渡すというシーンがあった。視聴者は、「この作品の世界の魔法管理体制は大丈夫なのか?」と困惑させられた。その後も、主人公の研修仲間のキャラであるアンジェラが、自分の恋に悩み、東京タワーを魔法で捻じ曲げるなど、魔法が社会に悪影響を及ぼしかねないシーンも。現実とかけ離れた魔法社会の雰囲気と、ストーリー展開がネットでネタにされ、視聴者の記憶に強く残る作品となった。

 2003年はまだ深夜アニメが、ライトノベルやマンガ、ゲーム作品の宣伝を兼ねる制作方式が主流になる直前の時代で、色んな方向性で面白い作品が多かったが、この作品は、その最末期に登場した作品となるだろう。ネタ方向ばかり記憶に残っている方が多いが、主役の宮崎あおいの演技の評価も悪くなく、作品音楽を担当した羽毛田丈史のBGMも好評だった。ちなみにこの作品は、2008年7月に『魔法遣いに大切なこと 〜夏のソラ〜』という別の主人公で世界観を同じにした第2作目が制作されており、この時は実写映画も同名タイトルで放映されいる。(斎藤雅道)

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