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まるで暴力団金融…中国がアフリカ諸国に貸し付ける「投資」という名のカネ

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提供:週刊実話

 中国の習近平主席は今年7月、10日間のアフリカ歴訪の旅に出た。

 最初の訪問国はセネガルで、マッキー・ソール大統領と会談し、道路ならびに港湾建設での投資が発表されている。具体的な地域や金額は不明だ。

 ツツ族とフツ族の大虐殺から24年を経たルワンダでは、荒廃した国土の再建のため、中国はインフラ建設に協力を約束し15の協定に署名、特に2つのハイウェイ建設に1億2600万ドルの貸し付けを約束した。

 南アフリカのヨハネスブルグでは、トラブルに巻き込まれている発電プロジェクトに、25億ドルの貸し付けが約束された。これは前回の中国開発銀行の貸し付けに対する返済が滞っているため、追加の融資を行うことでプロジェクトを継続させるのが目的だ。追い貸しというやつである。

 17年までに中国がアフリカ全体に行った貸し付けは合計88億ドルに及び、借金のワナに落ちたケニアやジブチからは「借金漬けにされ、資産を奪い取られるゾ」との警告が発せられている。これに呼応したアフリカ最貧国のシエラレオネは資金援助を拒否している。

 また9月3日、4日には北京で『中国アフリカ協力フォーラム』が開催され、中国とアフリカとの関係強化が強く打ち出されている。参加したアフリカ諸国は53カ国、台湾と国交を持つエスワティニ(旧スワジランド)だけが未参加だった。

 「これら資金は中国政府系ファンドが融資し、労働者派遣や建設事業は中国が請け負いますから、現地に一銭も落ちず、権力者らの腐敗を生み出すとして“債務トラップ外交”と呼ばれています。派遣される労働者は『前科者』や『犯罪者』で、現地で傍若無人に振る舞うことから忌み嫌われています。マレーシアのマハティール・モハマド首相も8月、政権復帰早々220億ドル相当の中国支援のインフラ計画の中止を発表している、その理由もシエラレオネと同様『高額な債務を押し付けられるだけだ』と批判しています。中国の”赤い援助”が日本で言う”暴力金融”まがいの貸し付けに、ようやく各国も気付いたようです」(国際ジャーナリスト)

 国際通貨基金(IMF)も今年4月に発表した調査報告書で、アフリカの低収入国家のうち4割が借金地獄に陥っていると指摘。中国からの巨額の融資はそれらの国を一層、債務不履行状況に陥らせることは火を見るよりも明らかだと警告している。

 「中国の狙いは借金漬け以外にもう1つあって、台湾を国際社会から孤立させるためです。中国マネーを受け入れると台湾との国交断絶を迫る。今年9月現在、台湾と国交を持つアフリカの国はエスワティニだけになり、一応成功を収めています」(同)

 米国では今年3月、下院外交委員会の小委員会で、独裁政権に対する“箱もの”造りや大規模インフラの支援といったやり方は「新植民地主義」ではないかと指摘した。

 「特に警戒しているのは、紅海の入り口に当たる戦略的価値の高いジブチへの投資です。ジブチはすでに12億ドルの対中債務を抱えていますから、港湾が借金のカタに取られ、中国の軍事基地として固定化されるのではないかとの危惧です」(軍事ジャーナリスト)

 日本のアフリカ支援は1993年からTICAD(アフリカ開発会議)を数年おきに開催するなど、中国より歴史が古いが、最近は中国の攻勢に押され気味だ。

 とはいえ、日本の草の根重視の支援は現地で歓迎されている。アフリカの側にも、中国の大量の融資による債務漬け、環境破壊などの懸念がある以上、「量より質」を掲げる日本のやり方が再度脚光を浴びるチャンスでもある。

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