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人物クローズアップ 俵山栄子

 あるときはモノマネ女王、またあるときは謎のソウルシンガー。いろんな顔を持つ舞台女優の俵山栄子(47)が新感覚の朗読劇「ひとり立ちシアター〜忘れたいのに〜」を上演する。今回の舞台では主演のみならず製作全般も手がけたものの、思いもよらないドタバタ続き。抱腹絶倒の裏側を赤裸々に語ってもらった。

 タイトルが「ひとり立ちシアター」と一風変わっているが、ひとり舞台というわけではない。今回の舞台は朗読劇で、出演者11人のうち10人が座ったまま台本を読み進めるスタイルだ。
 「で、残りのひとりである私だけが立って演技する。だから“ひとり立ちシアター”。別に何かから卒業するわけじゃありませんよ(笑)」
 その一方、舞台裏の製作すべてを、彼女がひとりで取り仕切っている。
 「チラシ、パンフレット、衣装、小道具、チケット…ぜんぶひとり。受付までやるって言ったんですが、さすがにそれはやめとけって(笑)。使用する音楽も私が音源を集めて編集しています」
 脚本はミュージシャンにしてエッセイストの島敏光。タイトルに「忘れたいのに」とある通り、世界中の人が一斉に記憶をなくしたらどうなるのか…というストーリーだ。
 「末期的な内容です。テーマは温暖化やオゾン層の破壊といった地球の環境問題。このままだと子供に未来はない…そんな現実的でリアルで差し迫った危機を描いた、本当に起こってもおかしくない話。みんなが恐怖を感じ、それが狂気となって…事態はとんでもない方向に進んでいきます」
 山藤章二が主催し、高田文夫ら寄席・演芸関係者が参加する句会「駄句駄句会」が後援している。島が会のメンバーという縁によるものだ。
 「なので、内容は末期的ですが大いに笑えます。いたって主人公はマジメですが、なにせ記憶を失っているので会話がチグハグ。普通の人から見たら、そこがおかしいところじゃないかと。ギャグじゃなく、あくまでも脚本ありきの笑いですね」
 演出は…アラン・スミシー!? 映画好きならご存知のはずだが、この名前は、監督が製作中に何らかの理由で降板したり、自分の作品として責任を負いたくない場合に使われる偽名だ。
 「もちろん最初は私が演出も担当。でも自分が主演ですから作品を客観的に演出するのが非常に難しい。そこで、コント山口君と竹田君の山口弘和さんに全体の監修をお願いしたんです。正直とてもじゃないけど演出なんて…と持て余していたとき、フラッと現れた山口さんに“甘い!”と一喝されまして」

 そのときの山口は右肩を骨折し、三角巾で腕を吊った状態。舞台でおなじみの肉体派コントをやった際、でんぐりがえしをしたら折れたのだそうだ。コント中に骨折したのは初めてで、いたく落ち込んでいたという。
 「しかもひどい花粉症で、マスクしたまま私を見て“お前の落ち込み方なんて、まだまだだ!”と(笑)。ああ、心の師匠は山口さん…というわけでお願いした次第。みんな山口さんの言うことならちゃんと聞くんですよ、これが(笑)。演者には私より年上の方もいるので、なかなか思ったことが言えなかったりしたんですが、山口さんならズバッと言えますし。その点でも私は演出する前からくじけてました…」
 演出だけでなく舞台監督でも前代未聞の事態に遭遇。これまで7人も変わっているという。
 「最初の人は関係者の紹介でしたが小劇場の芝居をやったことがなく、何も経験がなくて、ビックリ! 早々にお引き取り願いました。2人目は交通事故。3人目は劇場の下見に行こうと待ち合わせたのに来なくて。後で聞けばノロウィルスに感染したとか(笑)。こうして次々に入れ替わり、今の7代目でようやくまともな人が…(笑)。私、呪われてるのかな? ちゃんと神社へお参りにも行っているのに」
 むろんキャスティングも担当。自身のコネクションで各所に出演を依頼した結果、誰が自分を好きでいてくれるのかハッキリ分かったと語る。
 「孤独感というか孤立無援というか…。ギャラなんて出ないような舞台なのに、みんな“栄子ちゃんがやるなら”と協力してくれて。友情、愛情、人の情けを感じました。貴重な体験でしたね」
 最初の台本では登場人物は16人、舞台上にマイクが16本も立つ予定だったとか。とても入りきらないので登場人物を11人にまで減らした。
 「全員が同時に舞台に上がるのではなく、3〜6人が入れ替わり立ち替わり登場するスタイル。島さん本人も出られますし、BOOMERの河田貴一さんは得意の早口競馬実況中継を披露します。もちろん私はモノマネショー。人ごみでごった返す公園で、みんなに無視されながらモノマネする切ないシーン。でも、お客さんから見たら、むしろ面白いかも」
 チラシ作りも困難を極めた。今の時代、みんな家にパソコンがあり、インターネットにつながっているのが当たり前…それが当然ではなかった。
 「出演者の顔写真を集めようと電子メールで送ってもらおうと思ったら…パソコンどころか、ファクスや携帯電話すら持ってない人ばかり。日常生活で不要な人が多いんですね。結局、デジタル画像をメールで送ってくれた人は、たったひとり。どこかで撮影したスナップショットの紙焼き写真を手渡されたときは、思わず笑ってしまいました。集めるのに結局2週間以上もかかりました」
 朗読劇は普通の舞台よりも難しい。肉体を使って表現できないからだ。役者は体を使ったほうが100倍楽だという。
 「文字通り“手枷(かせ)足枷”をはめられた状態でおもしろく演じられたら朗読劇として成功でしょう。役者は頭の中に浮かんだ映像を、どれだけ座ったまま演じ切れるのか? 台本の上っ面をなぞるように読んでいるだけなら、差がハッキリ出てお客さんに見抜かれる。そこに落とし穴がある。朗読劇の深みだし、面白いところですね」
 今回の舞台は4月3〜5日に下北沢シアター711で上演される。
 「一番の問題は、役者が全員そろうのが公演初日ってこと(笑)。けいこでも必ず誰かがいなくて、役者がそろわない。もう、ぶっつけ本番、できたら奇跡(笑)。前代未聞の舞台です、見逃せませんよ。怖いもの見たさでしょうか、初日(3日)のチケットは既に完売(笑)。でも4日と5日はまだまだ余裕があります。アンバランスさをはらんだスリリングなステージを、ぜひご堪能下さい!」

<プロフィール>
たわらやま えいこ
1962年2月9日生まれ、新潟県出身。T156、B81W57H81。フジテレビ「オールスターものまね王座決定戦」「オールスターものまね紅白歌合戦」などで活躍。桑野信義を中心とした黒塗りディスコユニット「クワマンWithスリービックリーズ」のメンバー・HABUとしても活動中。

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