昔の人の練習したあと? 日本最古の「いろは歌の手習い書き」

ミステリー 2019年07月21日 23時00分

昔の人の練習したあと? 日本最古の「いろは歌の手習い書き」画像はイメージです。

 伊勢神宮に仕えた斎王の住居跡から、日本最古のいろは歌の手習い書きが発見されたというニュースがあった。

 三重県立斎宮歴史博物館によると2010年10月、三重県明和町に存在する、伊勢神宮に仕える皇族の女性「斎王」が過ごした斎宮跡から「いろは歌」が書かれていた土器片(11世紀末〜12世紀前半)が出土した。文字が書かれた土器は縦約7cm、横約4cm、厚さ約1cmの破片で、破片をつなぎ合わせると皿の外面に「つねなら」、内面に「ぬるをわか」と書かれていることが判明した。

 今までの最古のいろは歌は、岩手県の志羅山遺跡から出土した12世紀後半の木簡だった。この出土で記録が更新されたことになる。

 今回発見された土器片は、宴や儀式で用いられ、使い捨てされる皿。前述の斎宮歴史博物館によれば、「筆跡が繊細であるため、斎王の身の回りの世話をする女官が文字を練習するために書いたのではないか」と推測している。

 いろは歌は、ひらがななどの文字を覚えるための手習い歌のひとつ。これまでの文献などから、成立は10世紀末から11世紀中ごろと考えられている。斎宮歴史博物館では「京の都の貴族文化が、斎宮にいち早く伝わっていたことを示している。いろは歌の普及を分析する上でも価値ある史料」としている。

 斎宮は伊勢神宮に仕えるために都から赴任した未婚の皇女「斎王」が過ごす宮殿、または役所であり、7世紀後半から14世紀前半まで約660年間続いた機関。 ひらがなが書かれた土器片は、宮殿があったと考えられている区域で発見された。斎王に仕えるためには身分の低い女官であっても教養が必要だったのだろう。 使い捨ての土器に書かれていたことや、きちんと順番通りに書かれていることからも、密かに練習していた様子がうかがえる。

 いろは歌は、かな文字を覚えるための手習い歌であるが、具体的にいつごろ作られたかは不明である。背景には仏教の教えもあるとされており、中には隠されたメッセージがあるのではないか、とする話も存在するほどで、現在も研究が進められている。古代から我々にとってなじみ深かった歌だが、その実態は謎が多いものなのだ。

(山口敏太郎)

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