「日韓など西側の音楽や映画、そしてアダルトビデオが北朝鮮に来襲しています。北朝鮮の人々は、中国やロシア、中東などへ出稼ぎに行き、そこで『わが国は世界最貧国だ』という現実を知って帰国します」(北朝鮮ウオッチャー)
米国の戦略国際問題研究所が、昨年、北朝鮮国民の複数人を対象に対面調査を行った。その全員が、国から十分な生活物資を供給されていると思うと模範的な回答をしたという。
ところが、政権について陰口を言ったことはないと回答したのは、わずか1人だけだった。
「米軍による空爆が現実に差し迫っている現状、さまざまな流言飛語が北朝鮮国民の間で飛び交っています。そのため当局は、これまで忠誠を誓うよう強いてきた金日成・正日親子の肖像画や銅像が破壊されるかもしれないと、警備強化に走っているのです」(同)
先頃、ナンバー2と目された朝鮮人民軍の黄炳瑞総政治局長と、秘密警察である国家保衛省のトップを長く務めた金元弘総政治局第1副局長らが、“不純な行為”を理由に処罰されたとの情報が駆け巡った。主導したのは、正恩委員長の最側近の座を争ってきた崔竜海党副委員長とされる。
「北朝鮮にとって、これはいつもの内紛では済まないかもしれません。何しろ、トランプ大統領が命令すれば、いつでも『作戦計画5015』が実行される状況にあるからです。米国は“最大限の圧力”で正恩政権を崩壊させようとしていますが、その切り札に成り得るのがこの作戦なのです」(軍事アナリスト)
同作戦は、北朝鮮が'13年に3回目の核実験を行ったことから、核攻撃を抑止する先制攻撃のために練られた。米韓軍は、それまでの『5027作戦』の修正を余儀なくされたのだ。
「'16年、韓国の崔潤喜合同参謀本部議長とスカパロッティ米韓連合司令官は、韓国に対する核攻撃を前提にした同作戦書に調印しています。同作戦は、それまでの『5027』よりも迅速かつ積極的で、北の韓国に対する核ミサイル攻撃の“兆候”を探知したら“攪乱”に出る。韓国への核攻撃は正恩委員長の命令がないとできませんから、情報のコミュニケーションラインをサイバー攻撃などで攪乱するのです。これはイラク戦争でも実行されました。その混乱に乗じて先制攻撃で北のミサイル基地や司令部などを“破壊”する。その副次作戦として特殊部隊による正恩委員長の拿捕ないしは殺害を実行するというものです」(同)
兆候探知→攪乱→破壊と鎖のようにつながっていることから『5015作戦』は“キルチェーン”とも名付けられている。