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「引退しないで済んだ?」イチローを切ったマリナーズが外野手を補強

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イチロー

 「もうちょっと待てば、良かったのに」と思ったファンは少なくないようだ。
 イチローが会長付特別補佐を務めるシアトル・マリナーズはア・リーグ西地区の首位に君臨している。「16年連続でのレギュラーシーズン優勝ナシ」という、米4大プロスポーツの不名誉な記録を今年で止められるかもしれない。しかし、「優勝」を意識しすぎるせいだろうか。今季は補強を急ぎすぎているようだ。
「ロビンソン・カノー(二塁手)の薬物疑惑を本当に知らなかったのかどうか…。以前から噂は絶えなかったようですし」(米国人ライター)

 5月15日だった。カノーに禁止薬物の使用が発覚し、80試合の出場停止処分が下された。8月下旬までは試合に出られない。これを受けて、マリナーズはレギュラー中堅手のディー・ゴードンをセカンドにコンバートし、若手有望株のギレルモ・ヘレディアをマイナーから昇格させ、センターを守らせた。ところが、である。新二塁手のゴードンが故障してしまった。「5月下旬、遅くとも、6月上旬には復帰できる」とはいうものの、その間は、控え内野手やマイナー選手に代わりを務めさせるスクランブル体制である。
 こうしたチーム状況を受け、マリナーズが緊急トレードに動いた。獲得したのは救援投手と外野手だった。二塁手ではなかった。ゴードンの復帰を見越し、復帰後も二塁手で使っていこうという戦略だろう。
「好打者のカノーは8月下旬から復帰しますが、ポストシーズン・マッチには出場できません。だから、ゴードンを二塁手として使っていかなければなりません」(前出・同)

 メジャーリーグでは、通常、4人の外野手をベンチ登録して試合に臨む。マリナーズは序盤戦、「外野手5人体制」となり、救援投手を1人減らした状態だった。外野手5人体制となった理由は、イチローにある。マリナーズはレギュラー起用を予定していた外野手3人が立て続けに故障してしまい、オープン戦半ば、緊急で「外野手・イチロー」の獲得を決めた。
「故障した3人のレギュラー予定の外野手が早期復帰することも分かっていました。それでも、イチローの獲得を決断しました」(特派記者)
 故障者復帰後、マリナーズはイチローに事実上の引退を意味する「会長付特別補佐」の肩書を与え、今日に至っている。カノーが禁止薬物で出場停止処分となったのは、その約2週間後のこと。外野手のゴードンをセカンドにコンバートし、外野手枠を一つ減らしたのだから、「わざわざトレードで外野手を補強するよりも、イチローを復帰させたほうが」というのが、地元メディアや米国ファンの意見である。

 「どうも、マリナーズも大リーグ機構にルール確認を求めたらしい。一度、選手登録を抹消した選手の復帰は可能なのか、と。同一シーズンではダメというのが機構側の返答でした」(前出・米国人ライター)
 さらに加えて、こんな話も聞かれた。カノーは数年前から禁止薬物の使用が疑われていた。マリナーズはカノーの身辺調査をしたのか、疑惑選手を抱えているのだから、「クロ」と判明したときに備えておくのがフツーだが…。
 マリナーズがきちんと選手の内情を把握し、きちんと調査しておけば、イチローは選手登録を抹消されずに済んだとも考えられる。
「今季のマリナーズは地区優勝の可能性があります。早めに手を打ち、チームの好調さを維持させていきたいようです」(前出・特派記者)

 来春、マリナーズは日本でペナントレースの開幕戦を開催する。興行面を考え、イチローを一時的に現役復帰させるというのが日本のメディアの見方だが、カノーの出場停止に端を発するドタバタ補強について、
「イチローが現役に未練があるのなら、日本球界に帰還すべき」
 との意見も再燃し始めた。
 こうしたドタバタを見ていると、特別補佐とは、チーム編成に意見できないことも分かった。禁止薬物、コンバート、外野手の補強トレード。イチローはどんな心境でマリナーズの編成スタッフの決断を見ていたのだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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