有料化の詳細については明らかにされていないが、料金は500円程度になるという。理由は、ここ数年深刻化している混雑の緩和と、開場前にファンが行列をなす外野席入場門近辺の安全確保。これに合わせ、バックネット裏の自由席も全席前売りの指定席となる。
「甲子園球場の外野席の客席数は約19000。仮に平均70%の客入りだとすると、有料化すれば大会全17日間で約1億1300万円の増収が見込まれる。これは、『高校野球200年構想』の事業費用にも充てられるという。ただ、夏の甲子園の外野席は、一般のファンが多いネット裏と内野席、各校の応援団が多いアルプス席と違って、高校野球の熱烈なファンが集まる。それだけに高校野球関係者や、地元甲子園に住む住民などからは、様々な声が上がっているのです」(地元記者)
甲子園での監督経験もある元教員はこう語る。
「もともと、地方予選ですら入場料を取っている場合もあるのに、本大会の外野席が無料というのは公平性に欠けるという意見もありました。しかし、無料であることは、高校野球が“教育の一環”でもあるという観点に立つものだと思っていましたから、少々寂しい気持ちもします」
また、前述のように外野席有料化の目的の一つに“混雑緩和”があるが、甲子園球場の元関係者はこう説明する。
「確かにここ数年、混雑ぶりは目立っていますが、それは強豪チームが試合の時と、お盆休みの期間。入場時の混雑といっても開門までの話で、有料となればチケット売り場が大混雑するのではないか」
そのため、有料化の狙いは混雑緩和よりも新たな財源確保にあるとの見方が強いのだが、元関係者はこう続ける。
「『200年構想』と言うように、この先100年を考えた場合、どうやっても少子化の波は高校野球に押し寄せる。高野連は春にも増収分の使い道を公表する予定ですが、活性化のためのPR活動や地方の高校野球部への助成金に回す案などが出ると言われています」
今年から夏の甲子園の風景が変わりそうだ。ちなみに、春の選抜大会での有料化は考えていないという。