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〈企業・経済深層レポート〉 大塚家具5年連続赤字 崖っぷち久美子社長の断末魔

 かつて経営権をめぐり親子双方で激しいプロキシーファイト(委任状争奪戦)を仕掛け、マスコミで話題になった家具販売大手の大塚家具が、経営不振で追い詰められているともっぱらの噂だ。というのも11月半ばに発表された2018年12月期の第3四半期決算の売上高は、前年度比12・5%減の273億4400万円、経常利益は49億6900万円と5年連続の赤字となったのだ。しかも、この先の打開策が不透明で、今年8月には「現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる」と監査法人からゴーイング・コンサーンと呼ばれる経営へのイエローカードまで突き付けられるありさま。

 大塚家具は、2014年末時点では「現金及び現金同等物の期末残高」が115億円を持つ超優良企業だった。それが2017年末で18億円にまで激減。今年12月期も34億2600万円の最終赤字を見込んでおり、このままではキャッシュ不足は明らか。最悪の事態も懸念され、それを監査法人が警告したわけだ。

「大塚家具の経営陣は、メインバンクがイザとなったら融資してくれる『コミットメントライン』を契約しているので大丈夫と、取引先などには強気の姿勢を示しているともいいます。だが専門家の間では、それを疑問視する声も高まっています」(経営コンサルタント)

 そうした切迫した事情のためか、大塚家具は9月末から全国12店舗で最大8割引の「在庫一掃セール」を展開すると、売り場はひさびさに大賑わい。これを受け11月1日、大塚家具は10月の店舗売上高が前年同月比7.7%増と発表。同社の売上が前年同月を上回ったのは、実に15カ月ぶりのことだという。

 「この売上急増で大塚家具では、さらなる大売り出しの延長を決め、なんとかキャッシュ獲得をと躍起なのです。しかし、ここ数年、ひたすら下降してきた売上の中での対前年増ですから、いくらかプラスになっても焼け石に水。苦しい経営状態は横ばいのままでしょう」(全国紙経済記者)

 そもそも、15カ月ぶりに前年比売上増にはなったものの、比較対象の昨年は72億5900万円の大赤字を記録した年だったという。

 父親の大塚勝久元社長の経営が「古い」と従来の「高級家具会員制」から、安価な家具をメインにする『ニトリ』や外資の『IKEA(イケア)』の売り方を目指した“かぐや姫”こと勝久氏の長女・久美子社長は、経営危機にもがき苦しむ。

 なぜ、ここまでの経営不振に陥ったのか。経営アナリストは、こう分析する。
「付け焼刃でニトリやIKEAのマネをしても歯が立たない。ニトリは賃貸料が安い立地に出店した上、長年かけて、安く、消費者ニーズにあった商品開発に血のにじむ努力をしてきました。その上に今の好調がありますが、それと比較して大塚家具は、店舗は好立地、商品開発は高級品、その戦略から進歩していません。安易にニトリのマネをしても消費者はついてくるはずがないんですよ。今は高級品の投げ売りなので客が群がっていますが、バーゲンが終われば閑古鳥が鳴くでしょう」

 そのためバーゲンと同時に仕掛けたのが、経費削減対策だ。まず経営を圧迫している売上減を補うものとしては賃貸料の削減。売り場面積を縮小した。さらに、昨年から貸会議室運営事業の大手のTKP(ティーケーピー)と提携、その空いたスペースを提供し、賃貸収入を得た。とはいえ、バーゲンや賃貸料の削減だけでは抜本的な再建は難しい。

 そこで今必死になっているのが、新たに資金援助をしてくれるスポンサー探しだ。
「久美子社長は水面下で複数の企業首脳と面談し、資金調達の交渉を進めています。名前が挙がったのは、これまでにTKP、ヨドバシカメラ、ヤマダ電機など。しかし、いずれも『無理』『魅力なし』とソデにされているという。その理由は久美子社長。彼女が経営側に残ることに執着していて、折り合いがつかないという話が飛び交っています」

 暗礁に乗り上げつつある経営支援企業との提携。そんな中、こんな話も飛び交う。
「最近、中国のEC企業アリババグループに久美子社長が急接近していると噂されています」(夕刊紙記者)

 そして、もうひとつささやかれているのは大塚家具を追われた父の勝久氏による救済だ。勝久氏は、高級家具販売店の『匠大塚』を展開中で、12月7日に春日部店に続き2店舗目となる大宮高島屋に新店を開く。さらに都内百貨店での出店も検討するなど好調ぶりがうかがえる。その『匠大塚』が古巣の大塚家具再建に乗り出すという話だ。

 崩壊へのカウントダウンが始まっている大塚家具の動向は、2019年も目が離せない。

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