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警視庁、文科省、関東学連、第三者委員会が田中理事長派を完全包囲

 日大アメフト部の悪質タックル問題は「黒幕」の登場で“シーズン2”に突入した。7月6日、日本大学は理事である井ノ口忠男氏の辞任を報告した(4日付)。井ノ口氏は学生支援事業などを行う『株式会社 日本大学事業部』の事業企画部長。渦中のアメフト部のコーチも務めていたが、こちらも辞任。これで、日大はもちろん、アメフト部とも完全に関係が切れたわけだ。
 「タックル事件が起きた際に登録されていた10人強のコーチも、全員辞任しました。その中には井ノ口氏の長男・悠剛氏もいました」(学校関係者)

 井ノ口氏の辞任だが、広報部がメディア発表したところでは、「軽率な行動により、大学の信用を傷つけた」というもの。しかし、6月26日に行われた関東学生アメリカンフットボール連盟の会見、第三者委員会の中間発表(29日)がされるまでは、「内田正人前監督の後任人事において、主導権を握る人」と位置づけられていたのだ。
 「内田氏と井ノ口氏はともにアメフト部のOBで、先輩後輩の仲。当初、内田氏の意向が反映された後任人事がされると目されていました。コーチ・井ノ口氏の名前は6月に入ってすぐにアメフト部のHPから消えていましたが」(前出・同)

 その井ノ口氏の辞任理由が、「軽率な行動で」とのこと。これは一体、何を指しているのだろうか。
 「第三者委員会は会見で名前こそ出しませんでしたが、タックル事件後、部員数名を三軒茶屋キャンパスに呼び出し、“関係者が介入し、指示はなかったことにしろ”と口止めをしていた事実を伝えていました。それを聞いて、井ノ口氏のことが浮かんだ取材陣は少なくありませんでした」(取材記者)

 あえて、名前を出さなかったのは、最終報告に向け、徹底的に調べ上げるつもりだからだろう。
 「内田前監督、井上奨前コーチは、学連により断定されたにもかかわらず、悪質タックルの指示をまだ認めていません。でも、警視庁も第三者委の調査に注目しています。最終報告後、一気に踏み込むとの情報もあります」(同)

 井ノ口氏は辞任することで、第三者委の追及を逃れたいと思ったのかもしれない。だが、6月26日の学連会見の時点で「ヤバイ」と察していたようだ。
 「学連は後任監督の選考について、誰が選ぶのか、どういう基準で選ぶのかも明確にしてほしいと言っています。こちらも井ノ口氏のことを指しての発言でしょう」(学生スポーツ要人)

 後任監督については公募というやり方になった。それ自体がヤラセで、「外国人監督に内定している」との情報も聞かれた。
 「部室や寮を2人の外国人がウロウロしていた」(OBの1人)

 その外国人監督を見つけてきたのが、井ノ口氏だとも言われているのだ。
 「公募がヤラセで、外国人監督に内定しているとの情報とは矛盾してしまいますが、『公募は日大が決めたことで、井ノ口氏はただ外国人監督を勝手に探してきた』との話も聞かれました」(同)

 「勝手に後任を探してきた説」が本当なら、理事辞任の「軽率な行動で」と取れなくもない。
 「警視庁が踏み込むタイミングを見計らっている話もそうですが、日大が本当の窮地に立たされるのは、これからですよ。文部科学省を『本気』にさせてしまったのです。日大は解雇された一部講師たちに訴えられていますよね。その裁判はともかく、解雇されたのは英語講師が多く、本当に授業として成り立っていたのか、疑っています。大学設置基準(文科省令)には、『必要な授業科目を自ら開設』とあり、それに違反しているのではないかと、調査を進めています」(社会部記者)

 講師が大量に解雇されたのは、スポーツ科学部と危機管理学部。どちらも、三軒茶屋キャンパスが舞台だ。
 「井ノ口前理事は、田中英壽理事長とも近く、その発言力は常務理事だった内田氏よりも強かったという話もありました。当たり前の話、常務理事のほうが肩書は上。でも、井ノ口氏は日大をピーアールする映像制作会社の社長の実弟であり、年間約70億円の売上を誇る日大事業部の設立にも関わったからでしょう。日大事業部での正式な肩書は『理事長付相談役 事業企画部長』です」(関係者)

 第三者委は田中理事長のヒアリングも示唆している。暴君的な権力者たちの失脚は当然だが、学連は再発防止のレポートを期日内に出しても、その中身が曖昧なら「却下する」と言い切っている。
 「これまで要職にいた人が次々と失脚し、陣頭指揮を執れる人が残っていないんです」(同)

 アメフト部は秋のリーグ戦に復帰できない可能性が高まってきた。

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