「地球に衝突する可能性がある小惑星は、アメリカのNASAをはじめとする各国の専門機関が監視していますが、すべてをカバーできるわけではありません。とくに今回のように小さなものは、太陽の光を浴びる面積も小さいため、地球にかなり接近するまで発見が難しいのです」(サイエンスライター)
「2019OK」と名付けられたこの小惑星は、時速約8万7000キロという想像を絶するスピードで、地球から約7万2000キロ離れた地点を通過。幸いにも地球に影響はなかったが、これが地球に衝突していれば甚大な被害が出ていたかもしれないのだ。
防災ジャーナリストの渡辺実氏が解説する。
「東日本大震災は1000年に1度の大災害ですが、小惑星落下は100年に1度の災害と言われます。もし東京に落ちたら、目に見える範囲のすべてが壊滅するほどのスケールになる。さらに、小惑星がもたらす放射性物質や細菌などの影響も考えなくてはならない」
実際、1908年にロシア上空で隕石が爆発した際は数十キロ四方の森林をなぎ倒し、2013年にも同じくロシア・チェリャビンスク州付近に隕石が落下。その衝撃波は建物の窓ガラスを破壊するほどで、約1500人のけが人が出た。
「6500年前には、メキシコのユカタン半島に直径10キロの小惑星が激突。地上の砂やチリが成層圏まで舞い上がり、太陽光が届かなくなって地球上のほとんどの生物が死に絶えてしまった。恐竜が絶滅したのはこれが原因だとされていますが、恐竜よりひ弱な人類は、もっと簡単に絶滅してしまうでしょう」(同)
小惑星発見から衝突までに時間があれば、宇宙空間で核ミサイルを直撃させるなどして軌道を変えたり、粉々にすることも可能だというが、そんなSF映画のように上手くいくのか。今回の件で不安になってきた。