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オープン戦終盤に一軍合流 救世主・上原に「ヘンなクセ」が…

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上原浩治

 “救世主”上原浩治は、序盤戦のヨシノブ構想に入っていない…。
 10年ぶりの古巣帰還を果たした上原がフリー打撃に登板した(3月11日)。この時期、二軍球場のスタンドが沸くのは珍しい。上原がマウンドに上がるのと同時に約300人(推定)のファンが拍手と声援を送り、異様な雰囲気のなかで「実戦登板」に向けた調整が開始された。
「43歳(4月3日の誕生日で)が投げる球じゃないです。球種が分からなかったら、絶対に打てない」
 対戦したベテランの亀井善行(35)が報道陣にそう答えている。

 変化球を交えて約40球、ヒット性の当たりは5、6本といったところ。初のフリー打撃登板としては合格点だろう。亀井など4人のバッターを苦しめたのは、メジャーリーグで上原の代名詞ともなったスプリット。「ストレートに近い球速で小さく落ちる変化球」だが、上原のそれは“変化の幅”が大きい。メジャーリーグ中継の解説も務めるプロ野球OBによれば、「上原には2、3種類のスプリットがあって、投げ分けていた」という。この変化球が上原の投手生命を長くさせたのだろう。
 上原はそのスプリットを投げるとき、胸のあたりに小さく右手を前後させ、予告していた。フリー打撃に登板する投手が味方選手に球種を教えるのはよくあること。それでもタイミングが取れずに呆然と見送る、あるいは、空振り。力のないゴロ打球が転がるのを見せられると、上原が、頭数も足らない巨人救援陣の救世主に思えてくる。しかし、他球団のスコアラーはそうは見ていなかった。

 「もともと器用な投手だったから、今日の時点でも『それなりの精度』で投げていたけど、実戦で通用するボールを投げるには、もうちょっと時間が掛かりそう」
 さらに詳しく聞き直すと、メジャーリーグから帰還した日本人投手には「一つの難題」が課せられるという。
 メジャーリーグに挑戦した日本人選手は、米国仕様のボールに悩まされる。“感覚”もあるようだが、アメリカのボールは日本よりもやや大きく、少し重いという。投手はしっかり握れないため、本来の球速を出せない。バッターはジャストミートしたつもりでも凡打になる…。こうしたボールの違和感を乗り越えられるかどうかが、成否を分けるという。日本帰還の選手は、今度はその反対の違和感を解消しなければならないのだ。

 投手出身のプロ野球解説者がこう言う。
「日本のボールがアメリカ使用球よりも小さくて、軽いということは変化球の曲がり方にも影響します。軽いので曲がりすぎることもあり、投げている本人からすれば、この程度の調整で、もう、変化球を実戦レベルまで上げられたんだなと勘違いしてしまう…」
“曲がり幅”が大きすぎるということは、プラス要素だけではないようだ。

 また、日本とアメリカはマウンドの感触も違う。日本のマウンドは軟らかい。アメリカで成功した日本人投手は「高くて硬いマウンド」が自身にフィットしたからで、軟らかいマウンドに合わせ直すのはけっこう時間が掛かるという。これは、レジェンド黒田博樹も広島帰還時に苦しんだそうだ。
 こうした日米野球の違いを聞かされると、上原が本来の力を発揮するのは、球宴戦後かもしれない。
「上原って、腕を振り切った後、あんなふうに飛び跳ねていたかな? そういうクセはなかったと思う」(前出・他球団スコアラー)
 軟らかいマウンド、小さくて軽い日本のボールに違和感があるから、昨季と違う投げ方をしているのか…。

 上原はオープン戦終盤で実戦登板する予定だ。当面は“顔”と“貫禄”で抑えられるだろうが、完全に調整の終わっていないペナントレース序盤戦でアテにしすぎると、高橋監督は痛い目に遭いそうだ。

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