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驚天動地!新日鐵住金の「徴用工判決」は“盗人に追い銭”だった

 韓国最大の鉄鋼メーカーに『ポスコ』という企業がある。1973年、日韓基本条約に伴う対日請求権資金などによる資本導入で、朴正煕大統領(当時)の肝いりで、八幡製鐵と富士製鐵(後に新日本製鐵、現:新日鉄住金)、日本鋼管(現:JFEエンジニアリング)の技術供与で急速に発展した企業だ。

 新日鉄とポスコとの間には、「方向性電磁鋼板」と呼ばれる高機能鋼板の製造技術をポスコが不正取得し、自社製品に使用していたという技術情報漏洩事件に関する民事訴訟問題が横たわっていた。新日鉄からの請求総額が1105億4120万円、印紙代だけでも1億1657万円という、とてつもない規模の民事訴訟だったから日本では大きく報道された。

 第1回口頭弁論が始まったのは13年のこと。ポスコとは、15年9月に300億円の支払いを受け取ることで和解し、漏洩した元社員に損害賠償を求めた不正競争防止法を巡る訴訟でも、元社員を含む約10人が、新日鉄に謝罪した上で解決金を支払った。解決金の額は公表されなかったが、1人あたり1億円を超えたケースもあったという。

 結局請求金額の3分の1で済んだわけだから新日鉄側は相当譲歩させられたように見えるが、実際は、ポスコは、①今後技術使用料を支払い続ける。②地域別輸出物量も協議して決めることが決まった。つまり、ポスコは、新日鉄に隷属し、未来を拘束されることになったわけで、パクリと裏切りの代償は高く付いた。

 電気を家庭に送る変圧器などに使われる「方向性電磁鋼板」は、旧新日鉄が独自に開発し、変圧器に広く利用される特殊な鋼板で、当時、新興国を中心に需要の伸びが見込まれる有力商品だった。

 旧新日鉄は世界シェアのおよそ3割を占めるトップメーカーだったが、ポスコも04年ごろから劇的に品質を向上させて急追していた。

 「13年5月、提訴にあたって会見に応じた新日鉄の宗岡正二社長(当時)は、こう言い切りました。『何十年もかけ、数百億円の研究費を投じて開発した技術を不正に入手しない限り、他社がそう簡単に同等の製品をつくれるはずがない』という強気の発言です。新日鉄では07年ごろからこの特殊鋼の技術情報漏洩に関する内偵を始めており、相当の確証をつかんでいたのです」(経済ジャーナリスト)

 韓国企業によるパクリ被害に遭っているのは日本企業ばかりではないが、高額の報酬を提示するなどして先進国のメーカーに勤める技術者を引き抜き、あるいは提携を持ち掛けて、研究開発費をかけずに機密情報を持ち出させるのは、サムスンを筆頭とする韓国企業の“お家芸”だ。

 「彼らには“損して得取れ”とか“安物買いの銭失い”とか“急がば回れ”というような日本的な発想は全くと言っていいほど通じません。日本から引き抜いた技術者に韓国企業が求めるのは、とにかく1日でも早く日本と同等の製品をつくれるようにすること、それだけなのです。ベンチマークと称し、ドロボーしている自覚などありません。パクリの代償から欧米、ロシアから警戒されて、先進技術の現場に入り込めなくなっています。しかし、そのために必要な基礎理論を学ぼうなんてつもりもさらさらありません」(大手紙元ソウル特派員)

 韓国内の特許裁判では、外国勢に不利な判決が常態化しているので、日本をはじめ欧米の企業は、それに気付いてからというもの、海外の裁判所に提訴するようになっていた。

 「訴訟はポスコ有利に運ぶかに見えました。実はポスコの社員は、ポスコの持つ機密情報を中国メーカーに流したとして、ポスコから訴えられるという一件が持ち上がっていました。ところが、この社員は韓国・大邱での刑事訴訟で、『技術は、ポスコの物ではなく、もともとは新日鉄のものだ』と衝撃的な証言を行ったのです。新日鉄は、製造技術を持ち出したとされる元部長級社員の自宅から、ポスコとの通信履歴などの証拠を裁判所を通じて確保したことで、この“動かぬ証拠”が法廷でも大きな武器になったのです」(前出のジャーナリスト)

 この屈辱を今回の「徴用工判決」で晴らしたとすれば、まさに新日鉄にとって「泥棒に追い銭」「江戸の敵を長崎で討たれる」という心境だろう。

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