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〈企業・経済深層レポート〉 10億5000万円の債務超過 業界元トップ・小僧寿しが没落寸前

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提供:週刊実話

 持ち帰りすし大手「小僧寿し」が、上場廃止の危機に瀕している。売上高が低迷を続けており、2月に発表された2018年12月期決算では、9年連続となる最終赤字を計上。10億5000万円の債務超過に陥り、東京証券取引所は3月末に、2019年12月期末までの上場廃止の猶予期間に入ったと発表したのだ。

 小僧寿しは4月に第三者割り当てで新株予約権を発行するという。調達資金の多くは、デリバリー機能を強化した新店舗の出店費用に充てて、再起を目指すというが、そもそも小僧寿しは、外食産業の中でも超がつく大手企業だった。

 「小僧寿しがチェーン展開を始めた70年代は、すしはまだ店で食べる高級食だった時代です。その常識を覆すために低価格ですしの提供を始めたのが小僧寿しでした。一般家庭の食卓で、手頃な価格ですしが食べられるようになったのは、当時はまさに“革命”だったのです。『低価格』と『お持ち帰り』という2つの強みを武器に爆発的にヒットし、1987年には、店舗数が約2300店舗にまで延び、1991年にはチェーン全体の売上高が1000億円を超えています。現在、すしチェーン店でトップを走る『スシロー』が518店舗しかないことをみても、この数字がいかにすさまじいことか明白でしょう。一時は、マクドナルドや𠮷野家を凌駕するほどの勢いでしたからね」(経営アナリスト)

 事実、1979年には年商531億円を計上して、外食産業でトップに君臨。しかし、00年代以降は赤字体質が定着するようになる。なぜ失脚してしまったのか。ひとつは、回転ずしの増加による競争の激化だ。

 「日本人の食生活が家での食事だけでなく、休日には家族そろって外食することが増えたのですが、その中で、ファミレスとともに客数を増やしていったのが安価で食べられる回転ずし。イートインと持ち帰りの双方を手掛ける回転ずしが次々と登場しました。回転ずしの多くは、店で食べてもらうことで採算が取れるようになっているので、持ち帰り商品は、既存の小僧寿しより安い価格設定になっています。加えて、多くの客が来店する大型回転ずしではネタの鮮度も高いため、徐々に小僧寿しのリピーターが回転ずしに流れていったのです」(同)

 この様に低価格を売りにした格安回転ずしチェーンが台頭してきたことで、小僧寿しの強みであった“低価格”では太刀打ちできなくなる。

 「最近のすし業界は、二極化が進んでいて、スシローに代表されるように、安くてほどほどのネタを提供するコスパの高い格安すし店か、鮮度が高くて美味しい高級店が人気を集めていて、どっちつかずの価格帯の店は、客足が遠のいています。かつては低価格路線で“革命”を起こした小僧寿しですが、今ではどっちつかずの中途半端な店に成り下がっています」(同)

 回転ずしだけでなく、さらに小僧寿しを低迷させたのが、すしデリバリー店の増加だ。
「首都圏を中心に次々とデリバリー店が林立しています。中でも、全国展開して業績を伸ばしているのが『銀のさら』です。これらデリバリー店は小僧寿しと比較して、けして安くはありませんが、利便性と良質のネタを提供。持ち味である、“持ち帰り”の領域を狭めました。また、デリバリーも多様化し、今ではピザ、ハンバーガー、中華料理、イタリアン料理などがあり、すしという料理そのものが選ばれづらくなっています」(同)

 外食産業全体の業績が伸び悩む中で、すし業界に限っていえば右肩上がりの成長を続けてきた。しかし、民間大手調査会社の調査では、2013年以降、毎年30件前後、2018年は27件のすし屋を運営する企業が倒産している。

 「業界全体が低迷し始めて企業も対策に力を入れています。『スシロー』や『はま寿司』では、ポテトやラーメン、アイスクリーム、ケーキ、ハンバーグといったすし屋とは思えない料理を提供。ファミレス並みのメニューで、単にすしを売るだけという店から様変わりしているのです」(すし業界関係者)

 一方、小僧寿しもただ指をくわえているだけではなく、様々な対策を打って出ている。
「2014年に不採算店を中心にラーメン店『麺や小僧』を展開。だが、2016年には撤退しています。今は一部店舗で、しょうゆ味ベースのから揚げ弁当を売り出しているが、現状は業績を回復させるまでには至っていない。すべて後手後手に回った感は否めないですね」(同)

 今後デリバリーに力を入れるという小僧寿しは、巻き返しが可能だろうか。強みを失った小僧寿しには、難しいのではないだろうか。

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