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コロナ禍の海外旅行、日本帰国時のハードルが高い? 現地で50万円近く支払うハメになった人も

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 コロナ禍になり約3年。今年は、久しぶりにお盆休みに遠出をしたという人も多いようだが、同時にそろそろ海外に行きたいと思っている人も少なくはないようだ。『日本経済新聞電子版』(日本経済新聞社)に掲載された7月5日のプレスリリースでは、年内に海外に行きたいという人が約6割いると旅行会社「株式会社旅工房」が伝えている。

 実際、多くの国が観光客を受け入れ始め、入国前の手続きもかなり少なくなり、海外に行くこと自体が難しい時期は過ぎ去ったといえよう。例えばアメリカは、入国前のPCR検査の実施は撤廃され、ワクチンを2回接種していれば入国が可能だ。入国後の隔離はない。ドイツにおいてはPCR検査もワクチン接種証明書も不要で入国後の隔離も不要である。世界ではすでに各国がコロナ禍前のような状態に戻っているのだ。

 ​>>日本がコロナ感染最多を記録する一方で、日常が戻る欧州「もうコロナ禍は終わった」の声も<<​​​

 ただ、問題は日本に帰国する時である。他国に入国することが容易になっている一方で、日本に帰国する際のハードルは高い。日本に入国するには現地出発前72時間以内に受けたPCR陰性結果の証明書が必要で、それがなければ搭乗自体できない。さらに日本は基本的に日本独自のフォーマットでの検査結果証明書を必要としているため、異国で規定のフォーマットで検査結果を受け取ることができる機関を探さなければならず、難易度が高いのだ。

 また万一陽性だった場合、基本的には陰性になるまでその国に滞在しなければならない。感染リスクがほぼなくなっても陽性から陰性になるまでには2〜4週間かかると言われ、陰性になるまでその国にとどまらなければならないのだ。国によっては感染者専用の施設に滞在可能だが、現地の人ですでに埋まっていることもあり、重症でなければ提供を受けられる可能性は低い。大使館が宿泊場所を用意してくれるといったことも基本的にはない。なお、各国にある日本大使館が提示する条件をクリアすれば回復証明書の発行が可能で、日本に帰国ができるものの、発行までに時間がかかるケースも多い。

 このようなことからSNSを中心に、多くのトラブルが報告されている。この夏、ドイツに旅行に行ったという男性は現地でコロナに感染し帰国ができなくなったとのことだ。ヨーロッパは夏はバカンスシーズンでどこのホテルも通常より高く、さらに円安という状況。男性は陰性になるまで3週間近く現地に滞在したが、ホテル代に加え飛行機のチケットの変更などでプラス50万円ほど費用がかさんだという。ドイツでは重症でない限り国が用意した施設や病院に泊まることはないため、自分でホテルや民泊などの隔離場所を用意しなければならない。男性は「ドイツでは一定の条件をクリアすれば隔離は5日間で、その後は外に出られたが、5日間は出前やルームサービスで過ごして食が合わず精神的にもつらかった」と話す。

 またスペインでコロナに感染し足止めとなった男性は費用的な問題に加え、現地の日本大使館に電話をするもなかなかつながらず、どのような対応を取ればいいかと不安だったと話す。男性は「6時間近く待ったが、結局つながらず諦めた」そうだ。幸いにも男性はもともと滞在していたホテルに確認し、同じホテルで隔離することができた。大使館はできる限りの対応をしているようだが、同様の状況の人が多いようで追いついていないのが現状だ。

 またアジア各国も観光客を受け入れ始めたこともあり、中でも韓国に行く人は多いようだ。韓国ではコロナ禍を経て観光での入国が可能になったものの、入国に査証(ビザ)を必要としていた。しかし8月4日から31日まで限定で日本からの入国者はビザなしで入国が可能となっている。入国前、入国後のPCR検査は必要だが入国後に隔離はない。気軽に韓国に旅行に行こうと考える人も多いようだ。

 とはいえ、韓国も日本と同様にコロナの感染者が増大しており、現地で感染してしまうケースも珍しくはない。もし現地で感染したら7日間の隔離が必要で、もちろんその滞在費は私費である。国が隔離施設を提供してくれる場合もあるが、空きがないことが多く、さらに現地の感染者も多いことから空きの確認が取れるまでにも時間がかかる。韓国でコロナに感染してしまったという女性は、費用はもちろん、熱症状がありながら現地での対応にも苦労したという。「感染後、韓国の保健所に電話をしたものの、言葉が分からずきちんと伝えられたか心配。また着いてすぐに発症したため、一緒に行った友達を一人で過ごさせてしまった」と肩を落とす。さらにお盆休みを利用しての旅行だったが、日本帰国のめどが立たず「休み続けることになり、会社の人にも申し訳ない」と漏らしていた。

 旅行先の国でコロナに感染し、対応に戸惑う人は多いようで、各国の日本大使館は「ホテルの延泊、フライトの変更、PCRテスト受検等の多大な金銭的負担が発生する可能性があり、事前の準備をするように」といった注意喚起を行っている。

 諸外国は日本人観光客を受け入れる体制が整ってきているが、帰国へのハードルが高い限り、気軽に海外旅行に行ける、とはならないだろう。

記事内の引用について
「旅工房、「海外旅行に関するアンケート」を実施」
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP635844_V00C22A7000000/

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