著名女優が、かつての本格的映画デビュー作で完脱ぎというのは一つのパターンで、黒木瞳(57)の『化身』('86年、東映)もその典型例だろう。
宝塚では娘役トップだったが、映画界では新人同然、まさに“まな板の上の鯉”の心境で、されるがままの完脱ぎ濡れ場に挑んだのがこの映画だった。ナイスミドルの文芸評論家(藤竜也)と愛人関係に陥る銀座クラブの新人ホステスが彼女の役どころ。
「私が欲しいんですか? 欲しいなら優しくしてください」と詰め寄り、オールヌードに。いわゆる微乳ではあるが、薄桃色の乳首は実に感度がよさそうで、藤に揉まれ、吸われると体をピクピクとエビ反らせて反応してしまう“高性能”ぶりを発揮する。
最大のハイライトは、貸し切り状態の屋形船でのセックス。船の中で全裸にさせられた黒木が、男の執拗なオ○コ攻撃を受け、タマらず「ンン、アハッ〜ン」とよがり声をあげるサマはエロいの何の! さらには攻守入れ替わって、男に跨がり騎乗位ファック。自らの手で怒張したオトコを蜜壷に招き入れ、腰を思い切り振りまくる淫らさ。その白磁の肌がほんのり上気してゆくのが分かる。こんなワイセツな黒木瞳はこれ1本。あの『失楽園』('97年)も敵わない。
現在、黒木と並ぶ“天下の熟美女”といえば『家族はつらいよ』シリーズで、色っぽい小料理屋の女将を演じている風吹ジュン(66)もひけをとらない。
若かりし頃、映画で初の重要ヒロインを演じた『蘇える金狼』('79年、東映)も、その濡れ場のハードさにおいて凄いのひと言。
悪事を働く上司の愛人役の風吹が、悪事のネタをつかもうとする主人公(松田優作)にセックステクニックで翻弄されていくサマが圧倒的。松田にベッドで後背位からガンガン突かれて、悲鳴のような歓喜の声をあげるあたりがスゴイの何の。片足上げの変形帆掛け舟のような立ちマンでグイグイもさせる。着痩せする2つのおっぱいも丸出しで、ブルンブルンと揺れて天下の絶景であった。
「彼女もしたたかで奔放な愛人役を好演していました。銀座の高級クラブのホステスあがり、という異色の経歴がこの役柄にピッタリでしたね」(ベテラン記者)
ここまでがベスト5だ。定数はあと5席。さらなる激戦の中でまず勝ち名乗りを上げたのが、黒木と同じく微乳派、南野陽子(51)の『寒椿』('92年、東映)だ。
「『スケバン刑事』などのアイドル“ナンノ”から女優・南野陽子への転機となった作品。汚れ役で初ヌードの試練を見事に克服しました。ナンノが脱ぎ、超話題となりました」(アイドル評論家)
南野の役どころは売られた芸妓・牡丹。体当たりの熱演で作品に大きく寄与した。寒椿が咲く頃の初座敷で、地元の若旦那に“買われる”のだ。すでに自分に因果を含めつつも、体をこわばらせる南野の赤い襦袢を払う若旦那。肌もあらわにされた南野は濃いめの紅の唇をぐっと噛みしめ、涙をこらえている。口元にある妖艶なホクロがわななく。乳房を隠そうと精一杯抵抗するその手が払いのけられ、ガバッとあおむけにされると、細身の裸体に、ピチピチの乳房が露出する。劇中のセリフに“華やかだけど、どこかはかなげなところが人気の芸妓”とあるが、南野の憂愁な乳房は、男心をかきむしるようだ。
そんな彼女を盲愛するのが、力士くずれの侠客・仁王山(高嶋政宏)だ。欲望にかられ海辺の粗末な小屋に彼女を拉致する。「ウチが欲しいのやったらあげます」と気丈に言い放つ南野。その言葉を合図に、もう辛抱できないとばかりに、着物を荒々しく脱がし、南野のはかなげな両方の乳房に顔を埋めて、のしかかる。イヤイヤをする彼女の首筋から唇まで濃厚なキスの雨。あらわなとなった小さめの上品な乳首がツンと勃起し、やがて男の野性的な愛を受け入れていく。
当時、南野にインタビューした秋本氏が証言する。
「『大きい胸だと、はかなさが出ないでしょ。控えめな胸でよかったわ』と彼女は気丈に答えてくれました。確かにその通りでしたよ」
同様に、関根恵子(のちに高橋惠子、63)の裸身とからみも忘れられない。
その代表作は何本もあるが、作品の傑作度も含め『遊び』('71年、大映)で決まり。監督はエロス描写には定評のあった名匠・増村保造だ。
ホステスにさせられそうな貧しい家庭の16歳の少女(関根恵子)が、チンピラ少年(大門正明)と、お互い苛酷な環境から逃げようと決意し、手に手を取る。2人がラブホテルで初めてセックスするシーンが鮮烈にして情感たっぷり。シャワーを浴びる関根のヌードの瑞々しさは極上だ。
薄暗い一室で、チンピラ少年が正常位で迫る。関根も「抱いてよ。好きなようにして。あんたのものにして」と覚悟を決めて応える。彼は浴衣をはぎ、裸身をまさぐり、まだ“蒼い”が十分に発達した乳房を愛撫する。「キレイだ、本当に抱くぞ」の声を合図に、処女ならではの「怖い」と言いつつも、反応は良好で、関根も喜悦の声をあげ始める。
「やめないで、もっと」の声と同時に、半開きの口から吐く名セリフ「お姉ちゃんの分まで抱いて」が鮮烈。姉は病気で寝たきりの境遇なのだ。そんな切ない濡れ場が胸に染みる。
「このおっぱいも、生硬な関根の演技も素晴らしいんです。“脱ぐ清純派”という矛盾した形容も彼女なら成立しました。脱いでも脱いでも、気品を失わない。当時、最も美しい裸だったですよ。松坂慶子とともに、私には“Wケイコ”として“お世話”になりました」(前出・秋本氏)