こうしたターレの事故による犠牲者は、開場わずか半年で2人目となった。
「今回はエレベーターの扉に挟まって死亡したと発表されましたが、実はエレベーターのワイヤーが切れたことで挟まれたんです。開場から約半年、豊洲市場の構造は欠陥だらけ。事故だけでなく健康被害も起きています」(水産仲卸業者)
小池百合子都知事による『安全宣言』で昨年10月11日に開場した豊洲市場だったが、約1カ月後にはターレに乗った70代の女性が荷台から転落して死亡する事故が起きた。
しかも、豊洲市場では「トラックにぶつかりそうになり、慌ててハンドルを切ったらターレから振り落とされた」「ターレがマンホールのくぼみにハマり、体ごと投げ出された」といった事故が毎日のように起きているそうで、2月にもケガ人が救急搬送されたという。
「開場2カ月で人身・物損事故は82件。中でも問題になっているのは、今回の死亡事故の要因になったエレベーターの扉にターレが衝突する事故なんです」(水産加工業者)
豊洲市場は築地市場と比べて踊り場が狭いため、ターレごと乗れるエレベーター前はいつも渋滞。水産仲卸業者は早く乗り込もうとするためスピードを出す。結果、ターレ同士が衝突した揚げ句、エレベーターまで故障してしまうトラブルが絶えないという。
さらに、謎の“黒い粉塵”によって「市場内で咳が止まらない」「のどが痛い」といった症状を訴える健康被害も出ている。
「研究機関の調査で、謎の黒い粉塵は、高濃度の猛毒物質アンチモン、4大公害病の一つイタイイタイ病の原因物質のカドミウム、それにビスマスだったことが明らかになった」(関係者)
自然界ではあり得ない物質が高濃度で検出されたのだ。黒い粉塵はコンクリートやターレのタイヤの成分だと考えられるが、これは非常事態宣言だ。今回は1カ所だけだったが、大気中も含めた複数箇所の成分を大至急調査して、全容をつかむことが急務だ。