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セパ交流戦、巨人優勝の可能性 立役者・桜井のおかげで“育成力”の評価も上がる?

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原辰徳監督

 選ばれたら、プロ野球界における「育成」の解釈を変えるべきだろう。

 プロ野球セ・パ交流戦も2カードを残すのみとなった。6月18日時点でセ・リーグ30勝、パ・リーグ36勝(引き分け4)。今年もパ・リーグの強さを見せつけられているが、セの巨人は交流戦優勝の可能性を残している。首位・ソフトバンクとのゲーム差はゼロ、くしくも両チームは最終カードで激突する。近年、交流戦のマンネリもささやかれていたが、今年は最後まで楽しめそうである。セの原巨人の孤軍奮闘、その立役者となったのが、4年目の右腕・桜井俊貴(25)だ。巨人の優勝が前提だが、「交流戦MVP」受賞の可能性も高いという。

 「交流戦2戦2勝。それが桜井のプロ初勝利でもあり、2勝目も先発登板での初勝利でした。一軍でこのままずっとやっていけるという、自信みたいなものも出てきたのでは」(スポーツ紙記者)

 桜井は2015年、ドラフト1位で巨人入りした。立命館大卒、関西地区担当スカウトの「高校時代からマークしていた」なる評価コメントも報じられ、ファンの期待もおのずとふくらんでいった。しかし故障、不振で18年までの3年間、桜井はV逸の戦犯のような言われ方もされていた。

 「1年目のオフ、ウインター・リーグに参加しましたが、右肘の術後でもあったので、腕の振りが鈍く、その後も不本意なピッチングが続きました」(前出・同)

 桜井が他のドライチ選手と異なるのは、「自分で考えようとしたこと」ではないだろうか。

 担当スカウトは高校時代からチェックしていたと話していたが、桜井は兵庫・北須磨高校の出身だ。野球強豪校ではなく、進学校の部類に入る。当時の高校野球の専門誌を見ると、「公立の星」という言われ方もしていた。

 他球団だが、高校時代の桜井を知る関西担当スカウトがこう言う。

 「公立の星? 関西は野球強豪校も多く、太刀打ちできませんでした。伸びしろはあると思いましたが、強豪校と比べて公立校は練習時間も短いので、大学、社会人に進み、野球に専念できる環境に入ってからどれだけ伸びるかだと思っていました」

 桜井は高校時代から自分で考え、どんな練習をやればいいのかを考えながら、成長してきた。プロでの故障明けにしても、そうだ。故障前の自分の映像を取り寄せ、投球フォームを研究した。なぜ、術後に腕の振りが悪くなったのか、筋力が落ちたせいではないはずだ、と。今、桜井は「故障をして、学ぶことも多かった」とも話しているそうだ。

 コーチ経験を持つプロ野球解説者が、巨人についてこうも話していた。

 「巨人の育成については、批判的な声の方が多いですね。例えば、08年1位の大田泰示は日本ハムにトレードされてから素質を開花させました。でも、日本ハムで活躍したのはプロ9年目ですよ。巨人は8年も待ったわけです。DeNAに拾われた中井大介も巨人に11年在籍しての戦力外通告ですからね。こんなに長く待ってくれる球団は珍しいですよ」

 「教え方がヘタなだけ」との批判もあるだろう。外部補強の多いチームなので、若手に与えられるチャンスも少ないはず。しかし、別の見方もできる。コーチに押しつけられた練習をこなすよりも自分で考え、迷いながら、成長させたほうが本当の力になる。コーチが「やれ!」と練習を押しつけるだけが指導ではない。桜井の活躍を見ていると、巨人式の「待つ育成」も間違いではないのでは…。

(スポーツライター・飯山満)

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