「当然、労働者の収入は激減しました。1カ月40時間働いていたものが32時間勤務となり、結果は月収3分の1減。手当が付く夜勤にあまり入れず、ボーナスが支給される機会も減っているからです。7月1日に法定労働時間が1週68時間から52時間に削減されて以来、多くの企業が従業員を増やすよりも終業時間を早めている。もう1つの問題は、今年1月に実施して、過去17年で最大の上げ幅となった17%の最低賃金(時間額)引き上げが、低所得層の収入に逆効果をもたらしたことです。この引き上げのあおりで15〜29歳の約4分の1が失業しており、2017年に若年層の失業率は9.8%に達しています。これは全労働者の失業率のほぼ3倍に当たる規模です」(韓国ウオッチャー)
小規模企業の業界団体である小商工人連合会は、改革履行を拒まざるを得ないと表明。「小規模事業主は岐路に立たされており、廃業するか人員削減か、選択を迫られている」と窮状を訴えた。
ところが経済失策を続けても、依然として文大統領の人気は高い。南北首脳会談を受けてピークだった5月の支持率83%からは低下しているが、7月も69%と高い水準をキープしている。
文大統領が最低賃金に関する選挙公約を実現するには、2020年までに時給を1万ウォン(約970円)に引き上げなくてはならない。
「ところが、OECD(経済協力開発機構)が6月に発表した韓国リポートの中で、そのような上昇は加盟国でも前例がないと警告しています。文大統領に対し、これ以上最低賃金を上げる前に、今年の経済的影響を評価するよう推奨していますが、幸い韓国経済は、サムスン電子が好調なら安泰です。裏を返せばそれだけサムスン電子一極集中ということですが、それもトランプ米大統領次第。さらには頼みの半導体分野では、中国が大規模な工場を建設中で、今年の秋から冬にかけて稼働します。それを境に韓国経済は地滑り的敗北へひた走るでしょう」(同・ウオッチャー)
韓国経済にとって、米国と中国による「米中貿易戦争」は大きな痛手になる。再び日本は韓国に“抱き付き心中”されないように万全を期さなければならない。