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長い慣習を破り中国国旗掲げる世界遺産の『少林寺』

ネットには「釈迦とマルクスが握手?まさか」とか「党支部ができるのか?」という投稿も見られる。中国の伝統武術「少林カンフー」の発祥地、河南省の嵩山少林寺(禅宗)は8月、長い歴史の中で初めて中国国旗を境内に掲揚した。本山は世界遺産でもある。

 その一方で、中国政府非公認のキリスト教会では強制的な閉鎖も相次いでいる。中国で宗教団体に対する政府の締め付けが強まっているが、少林寺は圧力から逃れるための緊急避難的な意味から五星紅旗掲揚を決断したのか。

「国旗掲揚の背景には、今年2月に施行された『改正宗教事務条例』があるのでしょう。中国の習近平指導部は、宗教活動が共産党の統治の正統性を脅かし、国家の安全に脅威を与えかねないとして、規制を強化しています。条例では新たに、宗教団体や信徒に『社会主義核心価値観の実践』と法律の順守を求める内容が盛り込まれました。ただし少林寺のトップ『釈永信』は、中国共産党公認の仏教界の副代表を務める関係から、あだ名は『少林寺CEO』とか『政治和尚』とも言われますから、先陣を切ったということでしょう」(日本在中国人ジャーナリスト)

 他方で、新彊ウィグル自治区のムスリム弾圧や強制収容は、世界から非難をいかに浴びようとも「職業訓練所だ」と詭弁を弄し、その弾圧は青海省から陝西省、寧夏回族自治区のモスクにまで及んでいる。

「弾圧は都市部のキリスト教会にも及んでいます。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジアによると、9月、北京の朝暘区にある巨大なキリスト教地下教会が、閉鎖危機に直面しているとのことです。また2月以降、河南省では当局による十字架の強制撤去や教会の破壊が相次ぎ、こうした中国政府の宗教政策に対し、キリスト教の牧師ら29人が9月1日、実名で政府を批判する声明をネット上で発表する異例の行動を取りました。『こんな乱暴な行為は文化大革命の終結以降、なかったことだ』との内容です」(同)

 中国は建前では「宗教の自由」を憲法で保証している。こうした弾圧は憲法に抵触し、多くの中国人からみれば失望以外の何物でもない。

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