『龍馬伝』いろは丸事件で魅せた坂本龍馬の魅力

トレンド 2010年10月21日 15時00分

『龍馬伝』いろは丸事件で魅せた坂本龍馬の魅力

 いよいよ大詰めを迎えつつあるNHK大河ドラマ『龍馬伝』。10月17日に第42話「いろは丸事件」が放送されたが、坂本龍馬の人間的魅力が深く知れ渡る内容だった。

 いろは丸事件は、日本初の蒸気船同士の衝突事故であった。海援隊の運用する蒸気船・いろは丸は瀬戸内海で紀州和歌山藩の蒸気船・明光丸に衝突され、沈没してしまう。坂本龍馬(福山雅治)らは明光丸の過失を主張し、巨額の賠償金を勝ち取った。

 御三家として大藩意識丸出しの紀州藩にも一歩も引かなかった龍馬の交渉術が見どころである。現代でも変わっていないが、当時の日本は「長いものには巻かれろ」で泣き寝入りを強いられる社会であった。そこに万国公法を持ち出し、正義に即した公正な解決を求める龍馬の姿勢は、現代の裁判闘争にも通じるものがある。龍馬の以下の台詞が象徴的である。

 「たとえ相手にどれだけ非があろうと、力の弱い者が引き下がる。土佐がそう思われても、ええですろうか」

 また、龍馬は今後蒸気船が増えるにつれ、同じような衝突事故が起きると予測する。その際は最初の事故として、いろは丸事件の解決方法が引き合いに出されると指摘する。そのためにも恥ずかしくない解決をしなければならないと主張する。これも裁判闘争における先例の確立に重なる。

 そして龍馬は「船を沈めたその償いは、金を取らずに国をとる」という歌を流行させ、紀州藩の悪辣さを世論に印象付けた。公害問題や消費者問題などの裁判闘争は法廷の中だけで闘っている訳ではない。世論に訴えることも重要な闘いである。それを龍馬は見事に実行した。

 龍馬は歴史上の人物でも高い人気を誇るが、優等生的な爽やかさは鼻につく。龍馬の業績である薩長同盟にしても大政奉還にしても、かつて対立していた当事者が未来志向で手を携えるというシナリオである。龍馬自身も斬るつもりで訪れた勝海舟に弟子入りし、虐げられた憎しみの対象である土佐藩上士とも手を握っている。過去にこだわるのではなく、お互いを理解し合ってWin-Winの関係を目指せるところが、龍馬という人間の器の大きさと捉えられている。

 しかし、人間にとって過去の因縁に重要なものが隠されている場合もある。それらを有耶無耶にしてしまうことは、一歩間違えれば「長いものに巻かれろ」で泣き寝入りすることと変わらない。それを器が大きいなどと持て囃すことは、泣き寝入りを強いることにつながりかねない。このために筆者は龍馬という人物を、それほど好きになれなかった。

 ところが、いろは丸事件における龍馬は人間的であった。龍馬にとって紀州藩は徹底的に打ち負かす敵であった。龍馬は自己の主張を貫いた代わりに、紀州藩からは恨まれ、闇討ちまでされる。それに対し、龍馬は「おまんらに、わしは斬れんぜよ」と言い放つ。ここには過去には激しく対立していても、最後は互いを認め合って握手するという類のご都合主義的な物語は存在しない。物語的には後味が悪いとなるが、それが逆にリアリティを与えている。負けられない戦いに勝利した龍馬の人間的魅力が感じられた放送であった。

(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)

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