もともと、コメ卸最大手の神明ホールディングスは、元気寿司を軸に外食事業を伸ばす戦略を立てていた。まず2013年から'14年にかけ、業界4位の『かっぱ寿司』を展開するカッパ・クリエイトとの経営統合を目指していたが、破談になった経緯がある。
「その後、国内外での直営店を増やしたいスシローが元気寿司に経営統合話を持ちかけ、'17年から協議を進めてきた。実現すれば、業界2位の『くら寿司』や同3位の『はま寿司』を抑えて、世界シェアでもナンバー1の回転寿司チェーンが誕生する予定だったんです」(経済ジャーナリスト)
スシローは国内で500店舗以上を運営するが、海外は約10店舗程度と出遅れている。一方、元気寿司グループは海外に200店舗近く出店しており、スシローとしては魅力的だった。
「そもそも、スシローと元気寿司は経営方針が合わない。回転にこだわるスシローと、回らない寿司に力を入れている元気寿司。スシローがファミレス化でサイドメニューを増やしているのに対し、元気寿司は寿司ネタを充実させている。根強い元気寿司ファンからは“スシロー化”を心配する声が上がっていたのです」(回転寿司ライター)
『回転寿司に関する消費者実態調査2019』(マルハニチロ)によれば、消費者のニーズは値段の安さよりも、ネタの新鮮さにこだわる層が増えているという実態もある。
「これまで回転寿司業界はスシロー、くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司が“四天王”と言われていたが、元気寿司が牙城の一角を崩すかもしれませんよ」(同)
業界ニーズも回転する。