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男女3人殺害の裏にあった“2つの異常性癖”…「自殺サイト殺人事件」、犯人の人格形成の背景は【社会を震撼させた死刑囚たち】

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画像はイメージです

 2005年2月から6月、インターネットの自殺サイトを通じて知り合った14〜25歳の自殺志願者の男女3人に、一緒に練炭自殺をするかのようなメールを送るなどして誘い出し、乗用車内で口をふさいで殺害するという事件が発生した。

 この事件で逮捕されたのは、当時36歳の派遣の修理工だった男。2005年8月に、被害者のパソコンに残っていた記録から特定され逮捕に至った。その後行われた公判では、犯行内容が収められた実行記録のデータの存在が明らかとなった。2007年2月、大阪地方検察庁は死刑を求刑、同3月に求刑通り死刑判決が下された。弁護人は即座に控訴するも、死刑を望んでいた男は控訴を取り下げ、同7月に死刑が確定した。

 男が犯行に及んだ理由は「人が窒息して苦しむ姿に興奮を得る」という衝撃的なものだった。男はなぜ、「他人の窒息」に興奮を覚えるようになったのだろうか。その答えは幼少期にあった。

 2005年の産経新聞の記事によると、男は小学4、5年の時に読んだ推理小説で、犯人がハンカチで口をふさいで失神させる描写に興奮を覚えたという。中学生に上がり、同級生が成人向け雑誌を読んで興奮しているのに対し違和感を覚え、男は相手が異性かどうかは関係なく“窒息して苦しむ”人の様子に性的興奮を覚え、自慰をするようになったと言われている。女性の裸体に興奮したことは一度もなかったという。

 男は小学5年生の頃から高校を卒業するまで、手のひらや薬品を染み込ませたハンカチで、子供の口を押さえる犯行を約50件繰り返していたと言われており、この事件で逮捕されるまでに3度の逮捕歴があった。そんな異常な性癖を持った男であったが、もう一つ、人とは違う性癖を持っていたという。

 それは、「白い靴下」に対する異常な執着。

 男は中学1年生の時に、教育実習生の女子大生が履いていた白いスクールソックスを見て、強い性的興奮を覚えたという。白い靴下を履いていれば老若男女を問わず興奮し、大学生時代は白い靴下を履いた友人の男性に襲い掛かり、首を絞める事件を起こしたことが発覚し、その後大学を中退。自殺サイト殺人の際も被害者全員に白い靴下を履かせていたことが警察の調査で判明している。

 逮捕後、収監された拘置所では男の性癖を受けて、「白色スクールソックスは禁止」というドレスコードができるほどであったが、なぜ、「白い靴下」に異常な執着を持つようになったのか男自身にも分からず、精神鑑定で分析しても本人が納得する結果は出て来なかったという。

 しかし、死刑の判決が下された後に東海学院大(臨床心理学)の教授が1年以上に渡り接見し、男から送られてきた手紙や生い立ちなどを辿っていたところ、一つの答えが見えてきた。

 それは男の父親の存在だったという。

 父親は警察の白バイ隊員であり、男は正義の味方である父親を心から尊敬していたとみられる。その強い思いがまず、「白ヘルメット」への執着という形で具現化される。幼稚園の頃は、郵便配達員の白いヘルメットに興奮し、小学低学年の時には、教師が履く白い靴下でなくスニーカーに興奮したという。

 だが、小学4年生の時、父親は男の首を絞め上げ暴力を振るうようになったという。教授は「尊敬していた父親から虐待に近い暴力を受けたことで、男が人を窒息させることで自分を父親に同一化させるようになったのだろう」と分析した。

 2009年、死刑確定から2年という異例の早さで死刑は執行され、男は40歳でこの世を去った。この事件をきっかけに自殺サイトは規制が強化されることとなった。

 何らかの悩みを抱え、自殺を考える人たちを言葉巧みに誘い出し、自らの欲望を満たすことに利用した男の行動は卑劣そのものであった。しかし、その常軌を逸した行動は、「他人の窒息」と「白い靴下」に欲情するという幼少期の辛い経験が性癖となって表れてしまった衝撃的な事件でもあった。

記事内の引用について
大阪地方裁判所第6刑事部判決より
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/567/034567_hanrei.pdf

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