そんな中、相撲人気に水を差すように日本相撲協会は明らかに「?」な改革を進めることを打ち出した。
2月の理事会で、ゲン担ぎのために過度にヒゲや爪を伸ばすこと、刺青を入れたりすることを禁じる条文を追加し、明文化したのだ。
「ひざや肘などに巻くサポーターの色も、目立たない肌色にすることを求めています。違反した場合、当該力士は執行部か審判部に呼ばれ、厳しく注意されるそうです」(担当記者)
先月末に開かれた力士会に出席した後、このことを質問された尾車事業部長(元大関琴風)は、次のように胸を張った。
「土俵は神聖。お客さんが見て、気持ちいい気分になってもらわなければいけない」
しかし、「こんな細かいことに気を配るより、相撲協会にはもっと力を入れてやらなければいけないことが山のようにある」との声も上がっている。
「最優先なのが暴力問題です。協会は、先月も日本スポーツ法学会理事の棚村政行氏を講師に招いて研修会を開くなどしていますが、いかにも泥縄式。この直前、鳴戸部屋の三段目力士が弟弟子に暴行して、引退に追い込まれたばかりですから」(前出・担当記者)
力士の暴行事件は、ちょうど1年前の貴ノ富士(当時貴公俊)以降だけでも3件起こっている。そのほか、現役力士が禁止されている車の運転をした揚げ句、事故を起こしたケースも2件あった。
「最も重要な取組の問題もある。白鵬が立ち合いで相手の顔を張り飛ばす“張り差し”はかなり少なくなったが、ゼロにはなってない。十両以降の立ち合いの『待った』も相変わらず多い」(協会関係者)
現役時代によく無精ヒゲを伸ばしていた親方は、こう嘆息する。
「長々と伸ばすのはどうかと思うが、少々のヒゲぐらい認めてもいいんじゃないの。どれもこれもツルンとしたニヤケ顔より、取組に集中してヒゲが伸びた力士たちのほうが迫力あるでしょう。お客さんも、それほど不快には思わないはずだ。相撲協会のお偉方は、力士たちを紳士と勘違いしているんじゃないか」
そんなことより、谷町や大相撲ファンは「もっと、迫力ある面白い相撲」を見たいはずだ。まずは、春場所に大関昇進をかける貴景勝に注目したい。