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八千草薫さんの命を奪った膵臓がん、気をつけたい生活習慣は 進行すると現れてくる症状

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八千草薫さん

 女優の八千草薫さんが10月24日膵臓がんのため亡くなった。2017年末に膵臓がんを指摘され2018年1月に手術、その後2019年2月に肝臓にもがんがみつかったため仕事に一区切りつけ休養に入っていた。最初にがんが見つかってから2年にも満たない短い期間だった。

 厚生労働省発表の2018年の人口動態統計で、がんは日本人の死因の1位とされ、膵臓がんはその中で4位と高い順位で徐々に増えてきている。がんの中でも早期発見が非常に難しく、進行も早いといわれる膵臓がんだが、ならないためにできることはあるのだろうか。

 膵臓は胃の後ろにある長さ20cmほどの細長い臓器で、主要な働きとしては消化液を作り出すこと、血糖の調節をするホルモン(インスリンなど)を作り出す二つの役割を担っている。この真ん中を走る管、膵管にがんができやすいとされている。

 胃の後ろ、体の深い部分にある膵臓であり、検査でも見つかりにくく症状がとても出にくい。そのため、発見された時には手術もできない状態まで進んでいることも多い。

 膵臓がんは男性の方が女性よりやや多く、年代としては60代頃から多くなる。また、高齢化社会に伴い罹患者数も増加傾向だ。

 喫煙や肥満、アルコールやコーヒーの多飲といった生活習慣は膵臓がんのリスクを高めることで知られており、遺伝的な要素もある。また、膵炎を繰り返していたり、糖尿病を患っている人も膵臓がんになりやすい人と言われている。

 膵臓がんの初期には、ほぼ症状がなく経過することが多く、進行して初めて、腹痛や背部痛、食欲不振、体重減少、腹部膨満感、黄疸や背部痛といった症状が出てくる。急に糖尿病が悪化する際にも、膵臓がんの可能性を考える必要がある。

 初期の段階でも、膵臓がんの発生場所によっては黄疸になりやすく、白目が黄色くなったり、尿の色が濃くなる。また、糖尿病の人であれば、血糖コントロールが不安定になる、これまで糖尿病でなかった人が糖尿病になり口渇、多飲といった症状が出るかもしれない。腹痛や背部痛といった痛みは膵がんに特徴的ではなく、食欲の低下や体重減少は進行してから出やすいので判断が難しいが、気になる場合には疑ってみるしかない。

 膵臓がんが見つかった時には、手術、化学療法といった治療が検討されるが、診断がついた段階ですでに他の臓器に浸潤、転移しているケースが多い。そのため、手術できるのはわずか約20%に過ぎない。手術することができても再発率が高く、5年生存率で20−40%、手術ができない状態で発見される場合には1―6%と、他のがんに比べてとても予後が悪いのが現状だ。

 新たな抗がん剤が次々と発売になっているが、実際、進行した膵臓がんを完治させるのは難しい。生活習慣の是正が膵臓がんのリスクを減らすためには、とても大切であることは分かっている。家系で膵臓がんの人が思いあたる場合には、より一層生活習慣に注意し、定期的な検査をした方がいいかもしれない。検査でも発見されにくい膵臓がんだからこそ、腹部の症状、倦怠感や体重減少など軽微な症状に意識を傾けて欲しい。

参考:
日本肝胆膵外科学会 http://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=14
国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/index.html
厚生労働省 平成30年(2018)人口動態統計
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/index.html

文責:医師 木村ゆさみ

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