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ビッグ・セブンの謎

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画像はイメージです。

 社会現象にもなった人気ソーシャルゲーム「艦隊これくしょん」では、旧日本海軍の艦艇が擬人化されているばかりか、モデルとなった軍艦などの背景を織り交ぜた台詞がマニア心をくすぐり、大きなヒットに繋がったとされる。とは言え、基本的に旧日本海軍の肯定的な側面を台詞にしているため、平和を愛好する攻撃的な知識人のやり玉にあがり、いくつかの台詞については事実にもとづいていないのではないかとの疑義も呈された。

 なかでも、戦艦長門などの台詞に含まれる「世界のビッグ7」との文言は太平洋戦争期に用いられていなかったのではないか、もし使われていたとしても日本国内のみで、外国ではそのように呼ばれていなかったのではないかとの指摘については、少なからぬ論議を呼んだのである。なぜなら、戦艦長門や陸奥を「世界のビッグ7」と称していたのは太平洋戦争後の日本のみで、外国での使用例が見つからなかったのだ。

 ゲームにおいては「世界のビッグ7と云われてもいた」ということで、別に海外からそのように評価されたと誇示するわけでもなかったが、太平洋戦争後の言葉ならばいささかバツも悪い。そのためか、ネットの質問回答サービスなどでは根拠を示さず「かつては外国でもそのように称されていたが、戦後は失われた」などと、江戸しぐさのような無理筋の擁護論まで飛び出したのである。

 それでは、問題の「世界のビッグ7」とは、いかなる意味だったのであろうか?

 まず、ゲーム中の台詞にある「世界のビッグ7と云われてもいた」とは、日本の長門と陸奥、アメリカのコロラドとメリーランド、そしてウエスト・ヴァージニア、さらにイギリスのネルソンとロドネーを指しており、それらは当時の最強戦艦たちでもあった。なぜ、それらの戦艦が世界最強とみなされたかというと、海軍軍縮条約によって定められた上限いっぱいの主砲と防御を備えていたためで、その意味では確かに「世界のビッグ7と云われても」不思議ではない存在だった。

 とは言え、可愛らしく擬人化されたキャラの台詞といえど「歴史的背景を売りにしている」ゲームで、根拠はないにもかかわらず「いかにも当時の軍人たちがそう呼び習わしていたかのような台詞」が存在するのは、ファンにとっても居心地の悪いものがあったようだ。やがて、ファンの中から真相の解明に着手する人々が現れ、大まかながらも「世界のビッグ7」との言葉が生まれた時期など、背景が明らかになっていった。

 結論から言うと「世界のビッグ7」との言葉は戦後に生まれたようだが、ほぼ同じ表現は太平洋戦争前から存在していた。しかし、海外で「世界のビッグ7」との表現が用いられた可能性については、情況証拠などからほぼ皆無に近いことも明らかとなったのだ。

(続く)

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